コンフェデ総括。サッカー向きの気質の国が戦った決勝トーナメント (5ページ目)

  • 杉山茂樹●文 text by Sugiyama Shigeki
  • photo by Akagi Shinji

 決勝戦、スタンドの観衆は途中、ブラジルボールになると「オーレ、オーレ」と叫んだ。お約束の行動に出たのだが、それは長く続かなかった。すぐにスペイン に奪われてしまった。ブラジルの問題はここにある。サッカー王国なのに、スペインに対してボール支配率で劣った。相手が(退場者が出て)10人になったにもかかわらず、だ。もう一度戦ったらブラジルが勝てる保証はない、と言いたくなる理由だ。

 決勝での速攻によるゴールは、スペインが勝負に淡泊になってくれたために生まれたものだ。同じ条件で、そして平常心で臨まれれば、同じ形での得点は望みにくい。やはり可能性は、スペインの方に感じる。

 にもかかわらず、ブラジルは一躍、W杯の本命に躍り出た。ブックメーカーが示す「本命度」も、さらに上がることが予想される。ディフェンディングチャンピオンはスペインなのに、それと同種のプレッシャーを、それ以上に感じながら、戦うことになった。

 ブラジルは、完全に追われる立場になった。決してそれほど強いわけではないのに、だ。あと1年。監督、スコラーリのまさに腕の見せどころだと僕は思う。

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