王者バイエルンを苦しめた岡崎慎司、酒井高徳、それぞれの収穫

  • 了戒美子●文 text by Ryokai Yoshiko
  • 木場健蔵●写真 photo by Koba Kenzo

満足のいくプレイで今シーズンを締めくくった岡崎慎司(右)と酒井高徳満足のいくプレイで今シーズンを締めくくった岡崎慎司(右)と酒井高徳 圧倒的な地力の差を見せつけてバイエルンが優勝......というのがドイツ杯決勝前の大方下馬評だった。キッカーなど中立の立場に立つべきメジャー媒体は、すでにブンデスとチャンピオンズリーグの2冠を達成したバイエルンが3つ目のタイトルをつかみにいく、というテイストで報じていた。リーグ戦の対決では、バイエルンは6点を取って圧勝しており、そんな見方も妥当に思われた。

 だが、ふたを開けてみるとそんな簡単な試合ではなかった。一時は3-0につき離されたシュツットガルトが2点を返し、試合終盤はギリギリまでバイエルンを追いつめたのだ。

 反撃のきっかけになったのは後半の岡崎慎司と酒井高徳の投入だった。2人がピッチに入った直後からシュツットガルトの攻撃は活性化し、バイエルンを苦しめた。

 この日、2人は揃ってベンチスタート。特に左SBとして定位置を確保していた酒井のベンチスタートは想定外だった。だが本人は、2週間前に終わったリーグ戦終盤の出来が悪かったため、予想していたと言う。また、ラバディア監督からは「中盤もある」と言われていたそうで、左右のMFあるいはSBでの途中出場を頭に入れながら試合を観戦した。

 一発勝負特有の緊張感につつまれながら、シュツットガルトは高い集中力でプレッシャーをかけ、相手のミスを誘う。引いて待つのではなく、ボールを奪いにいって攻撃につなげるスタイルは、前半の20分程度までは通用した。だが、以降はバイエルンの攻撃のバリエーションについていけなくなり、ペースを完全に握られる。

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