今季ドイツで最も紙面を賑わせた日本人選手は? (2ページ目)

  • 了戒美子●文 text by Ryokai Yoshiko
  • photo by AFLO

 そして今季、自らのポジションを確立したフランクフルトの乾貴士、ニュルンベルクの清武弘嗣のふたりも、何かとメディアに取り上げられる機会が多かった。乾は開幕から3戦連続でゴールを挙げ、『キッカー』誌の評価は第5戦まで1点、2点と高評価が続いた(最高が1点・最低が6点)。だが、シーズン終盤は第27節グロイター・フュルト戦で2点となったあと、最終34節まで3点から5点と厳しい評価を受けている。ただ、ドイツでは得点とアシストを足した数字を「スコアラー」と呼ぶが、14ポイント(6ゴール8アシスト)をマークした乾はスコアラーランキングでチーム3位、全体でも27位と、その貢献度は高い。

 また、ブンデスリーガ1年目の清武も序盤戦から強いインパクトを残したことで、メディアの評価は総じて悪くない。4ゴール11アシストで15ポイントを記録し、スコアラーランキングはチーム1位、全体では24位。『キッカー』誌は、「ニュルンベルクの攻撃にクオリティをもたらした」と高く評価している。

 しかし今季は、不本意なシーズンを送った日本人選手も少なくない。まず筆頭は、ブンデスリーガ日本人最長となる6シーズン目を迎えた、ボルフスブルクの長谷部誠だ。昨季末に移籍希望を表明したことで、序盤戦はポジションを剥奪されることに。しかし最終的には、ポジションを取り返してシーズンを終えることができた。ただ、契約が2014年まで残っていること(契約期間を満了せずに移籍するのがスタンダード)と、すでに丸5年在籍していることを踏まえ、長谷部の移籍話は絶えない。最近ではハノーファーへの移籍が報道されたものの、本人は契約延長を望んでいると、地元紙『ヴォルフスブルガーアルゲマイネ』は伝えている。来季もボルフスブルクにいるのか否か、長谷部の去就に注目が集まっている。

 ハノーファーの酒井宏樹も、ブンデスリーガ1年目はドイツのスタイルに馴染めず苦しんだ印象だ。右サイドバックで評価を得られず、ピッチに立つ回数はわずかばかり。しかしシーズン終盤、ポジションをひとつ前に上げてあげて中盤に入るとチャンスを掴み、第31節からは4戦連続でフル出場を果たした。来季は中盤でのポジション奪取が期待されている。

 一方、シーズン終盤に盛り返してきた酒井宏樹とは対照的に、レバークーゼンの細貝萌は後半戦で失速した格好だ。前半戦は、バイエルンに今季唯一の黒星をつけた第9節をキッカケにスタメンへと定着。今年1月には、地元紙『ライニッシェポスト』で細貝の特集が組まれたほどだ。しかし、後半戦は左サイドバックの座を奪われ、出場機会はほぼ与えられず。そしてシーズン終了直後、ヘルタ・ベルリンへの移籍を決意した。来季は新天地で復活を試みる。

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