リーグ戦わずか4試合。プレミアが下した宮市亮の評価とは? (2ページ目)

  • 鈴木英寿●文 text by Suzuki Hidetoshi
  • photo by AFLO

 また香川は、ピッチ以外でもユナイテッドに大きく貢献している。ヤンマー、カゴメ、関西ペイントなどの日系企業が続々とユナイテッドとスポンサー契約を締結し、クラブ公式ショップにおけるユニフォームの売り上げは3位という人気ぶり。コマーシャル面での貢献度は絶大だった。その知名度はすさまじく、マンチェスター市内を日本人サポーターが歩けば、街行く人々から「シンジ・カガワ!」と声をかけられるほど。現地での評価はどれも温かく、香川の来シーズンへの期待度は高まるばかりだ。

 一方、注目度はユナイテッドほどでないものの、香川と同じくプレミア1年目の吉田麻也も、チームに大きく貢献したといえよう。右サイドバックでの起用や、アドキンス監督解任など環境の変化を経験したが、現地サウサンプトンの『サザン・デイリー・エコー』紙のゴードン・シンプソン記者は、「吉田の安定感はシーズンを通してぶれなかった」と称賛。「時折、集中力を欠いたり、スピードとテクニックで勝負するタイプのストライカーにやられていたりする場面があったものの、おおむね及第点以上の出来。出場試合数(32試合)が何よりその貢献度を物語っている」と語っている。プレミアの激しいフィジカルに負けず、昇格初年度だったサウサンプトンを残留させたことで、吉田は移籍1年目で周囲の信頼を勝ち取った。

 ただ、ウィガン1年目の宮市亮にとっては、ケガに泣いた厳しいシーズンとなった。リーグ戦はわずか4試合。リハビリに励み、ようやくエバートン戦(2013年3月9日/FAカップ準々決勝)で途中出場を果たしたものの、この試合で再び負傷して今季絶望となった。そして所属するウィガンは、長らく守っていたプレミアリーグの座から陥落。皮肉にも、宮市の期限付き移籍元であるアーセナルとの試合(2013年5月14日)で降格が決定してしまった。

 昨年10月、宮市はFIFA公式サイトのインタビューで、スピードとハイテンポが要求されるプレミアのプレイスタイルに適応しつつあると語っていた。もっともこの時期の宮市は、移籍したばかりのウィガンで不慣れな右サイドに固定されつつあったころ。「もっと最後の崩しを工夫しなければいけない。クロスのスピードや精度なども上げなければ......」と危機感を抱き、新境地を開拓しようと挑んだシーズンだった。それだけに、ケガでの長期戦線離脱は、誰よりも本人が悔しかったに違いない。

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