【ドイツ】目指すはCL圏内。シャルケ内田篤人の戦いは終わらない (2ページ目)

  • 了戒美子●文 text by Ryokai Yoshiko
  • photo by Getty Images

 指揮官の檄も当然、と受け入れた。後半、シャルケは選手交代によってラファエルが2列目中央に入り、ドラクスラーが左に回る。すると少し風向きが変わる。

「それまでファルファンしかなかったけど、ラファエルが入ってボールをあてるところができた。ボールが落ち着くと良くなるよね」(内田)

 この日の内田は攻撃参加よりも守備で目立っていた。相手の左MFはオランダ代表のエリア。09年の日本代表との親善試合で代表デビューを飾り、そのままワールドカップメンバーにまで残った。12年1月を最後に代表での出場はないが、87年生まれだから、まだまだこれからの選手である。いかにもオランダのウィングらしいこのドリブラーを抑えることが内田の使命だった。

「今日はエリアが前にいたからドリブルをさせないようにした。彼は体を寄せられるのが好きじゃない。密着してでも振り向かせないようしないと。がつっといったらボールもとれるしね。あとは前を向かれた時にどうするか。スピードに乗せるとちょっと面倒くさい。でも、そのまえにつぶすというのもあるし、パスを出させないように早めに寄せた。もし裏を取られても、ヨーイドン、で負ける気はしない」(内田)

 エリアは内田に全く仕事をさせてもらえず、後半途中、気の毒にも味方のブーイングとともに退いた。ビルト紙はエリアに最低点の6を、一方の内田には及第点の3をつけた(評価は1~6で最高は1)。

 内田はチームの完封勝利に貢献。さすがにこれだけ結果を重ねれば完全復活にも見えるが、復帰と故障を繰り返した1年を経験したからか、いまだに不安が拭えないと明かす。

2 / 3

厳選ピックアップ

キーワード

このページのトップに戻る