【ロシア】ブラジルを苦しめドロー。W杯ダークホースの面目躍如 (2ページ目)

  • 杉山茂樹●文 text by Sugiyama Shigeki
  • photo by Getty Images

 ブラジルはその結果、両サイドバックが前に出られないので、中盤を制すことができなかった。

 立ち上がりから主導権を握ったのはロシア。ピッチをくまなくカバーできていないスカスカの状態にあるブラジルを激しく攻め立てた。

 ロシアの監督はファビオ・カペッロ。その割にサッカーは攻撃的だった。プランデッリ率いるイタリア代表より、強者に対して勇敢に、攻撃的なサッカーで立ち向かった。

 ロシアはもともとパスワークに優れたサッカーをするが、その良さは監督がイタリア人に代わっても健在だった。長短のパスを巧みに組み合わせながらピッチを広く使い、最後にスルーパスを狙うそのサッカーを前にすると、即興性、すなわちその場の思いつきに頼るブラジルのサッカーは汚く見えた。見栄えという点で ロシアはブラジルに勝っていた。ボール支配率でも五分に渡り合った。

 前半の半ばめでは完全なロシアペース。4-1-「4」-1の2列目の4人がフラットに綺麗な網を掛けると、ブラジルはミスを重ね、決定的ピンチを再三招いた。半ばをすぎるとブラジルもチャンスをつかむが、こちらは決定的チャンスというより惜しいチャンス止まり。最後の崩しはできなかった。

 ロシアで思い出すことは2つある。ひとつは日本とグループリーグを同組で戦った2002年日韓共催W杯。もうひとつはヒディンク監督の下でベスト4入りしたユーロ2008だ。日本に敗れてグループリーグで敗退したチームと、その6年後のチームはまるで別物だった。2ランクほどレベルの違うサッカーを披露した。

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