【ロシア】ブラジルを苦しめドロー。W杯ダークホースの面目躍如 (3ページ目)

  • 杉山茂樹●文 text by Sugiyama Shigeki
  • photo by Getty Images

 しかし、2010年南アW杯は欧州予選敗退。ユーロ2008の活躍は過去の話になろうとしていた。ヒディンクの手腕だけで片付けられようとしていたが、ここに来てその評価はじわりと高まっている。昨年、カペッロが代表監督に就任し、現在行なわれているブラジルW杯欧州予選F組では2位以下に4ポイントの差をつけて首位に立っている現実を見逃すわけにはいかない。

 英国ブックメーカーのひとつであるウイリアムヒル社のブラジルW杯優勝予想でも、ロシアは11番目にランクされている。本大会のダークホースとしての期待がかけられているというわけだ。その予想は正しいのか。このブラジル戦は、それを占う意味でも重要な一戦だった。

 これまでのロシアには、いい試合をしていながら突然崩れることがよくあった。綺麗なサッカーをする一方で、精神的にムラがあった。勝負事に淡泊な面があった。このブラジル戦も、前半はいい戦いをしていながら、後半崩れる従来のパターンに陥るのか。後半の見どころはそれだった。

 結果でものをいいたくないタチだが、この場合、注目すべきは結果だった。もしロシアがブラジルに対して結果を出せば自信をつけることになる。来年の本大会に向け怖い存在になる。ユーロ2008の再来も夢ではない。

 ロシアは確かによかった。しかし、それ以上に目立ったのがブラジルのダメぶりだった。イタリア戦の後半からの流れは変わらなかった。中心選手不在。物事を即興的なプレイで解決しようとすれば、圧倒的な個人技が必要になるが、それを持った選手がいないのだ。身体が思うように動かないにもかかわらず本能でプレイしようとするカカや、名前負けしているネイマールを見ていると、とても哀れな気持ちになる。

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