【イタリア】伝統のミラノ・ダービーで長友佑都が見せた「強さ」 (2ページ目)

  • 浅田真樹●取材・文 text by Asada Masaki
  • photo by Getty Images

「マイボールのときに僕も(サイドに)開いた高めの位置を取っていたので、ボールの奪われ方が悪くて、そこから戻るのにちょっと遅れたという感じだった」

 その後もミランに追加点のチャンスは生まれるものの、インテルにはほとんど攻め手がないまま前半が終了。インテルにとっても、長友にとっても、不甲斐ない45分間となった。

 しかし、このままでは終わらないのが今の長友の強さであり、ひいては長友がイタリアで戦える理由である。

 後半開始からサネッティと左右を入れ替えて、いつもの左サイドバックにポジションを移した長友。すると、背番号55は俄然、積極性を取り戻した。

「左でずっとやってきたんで、いつも通りの自分のポジションでやりやすさはあった」

 自身そう話す通り、前半に比べても明らかにポジション取りは高くなり、攻撃に絡んでいく回数を増やした長友。果たして、小柄な左サイドバックは伝統の一戦で大仕事をやってのける。

 71分、左サイドを攻め上がっていた長友がゴール前へ正確なクロスを送ると、走り込んできたスケロットが値千金のヘディングシュート。「練習どおりのいいクロスだった」と長友は言い、こう話す。

「クロスは練習している部分でもあるし、日々の練習がちょっとした場面で出てくれた。でも、スケロットもすごくいい入り方をしてくれていたから」

 悪い流れの前半は、自分自身が失点にも絡み、決していい気分で終えられたはずはない。それでも後半、すぐに気持ちを切り替え、アグレッシブなプレイで同点ゴールをアシストする。ミラノ・ダービーという大一番で見せた、これぞ長友の強さだった。

 残念ながら、同点ゴールからわずかに5分後、長友は左ヒザを痛め、「100%でプレイできないのでチームのことを考えて」(長友)自らタッチランの外へ出た。結局、そのまま交代となり、ベンチに退いた長友だったが、バックスタンド側からピッチを約半周してベンチに戻るまでの間、スタンドのサポーターからは惜しみない拍手が送られていた。

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