【CL】レアルにドローも、マンU香川真司「はじめての充実感」

  • 了戒美子●文 text by Ryokai Yoshiko
  • photo by Getty Images

チャンピオンズリーグ、レアル・マドリード戦に先発した香川真司。右はクリスティアーノ・ロナウドチャンピオンズリーグ、レアル・マドリード戦に先発した香川真司。右はクリスティアーノ・ロナウド レアル・マドリードというまぎれもない強敵、もしかしたら格上ともいえる相手とのアウェーでの一戦。試合を1-1という結果で終えると、マンチェスター・ユナイテッドの香川真司は意外にも笑顔だった。

 決して上出来といえるようなプレイではなかった。終始押し込まれ、味方からのパスが少なかったことを差し引いても、香川にもっとボールが収まれば......、タイミングが合えば......、積極的にゴール方向に仕掛けられていれば......と思えるシーンは少なくなかった。それでも香川は明らかに嬉しそうだった。

「なかなか体験できない緊張感がありました。このピッチで結果を残したかったですけど、そう簡単には上手くいかないですし、まだまだだなと、あらためて感じさせられました。レアルは正直に強かったし、ボールのとりどころもなかなか見つからなかった。ロナウドは世界でナンバーワンの選手だなと、肌で感じた。難しかったです」

 プレミアリーグでさえ感じることのできない"高いレベル"を感じられる試合が、単純に楽しかったのかもしれない。昨年、日本代表の欧州遠征でブラジルに打ちのめされた直後、本田圭佑が「久々に楽しかった」と言っていたのと雰囲気が似ていた。

 多くのことを感じながらプレイした結果、香川は一番シンプルな課題を得ることになった。

「一人一人のスキルが高い。フィジカルも強い。個人と個人を比較した時に、僕自身もっともっとすべてにおいて成長しなきゃいけない。やっぱり個のレベルの高さはものすごいものがありましたね」

 生き生きと語る様子に、「楽しそうだが」と問いかけられると、一瞬表情を引き締めた。

「楽しそうというか......そういうの(個の力の差)を見せつけられたから、この現状を深く受け止めないといけないなと思います」

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