【ドイツ】デュッセルドルフが大前元紀にかける二つの期待 (2ページ目)

  • 了戒美子●文 text by Ryokai Yoshiko
  • photo by AFLO

 そこで大前の獲得ということになった。大前の獲得には大きく二つの理由がある。一つはもちろん純粋に戦力として、だ。香川以降、ドイツでは日本人選手への信頼が厚く、ある程度の働きは計算されているはずだ。ポジションは香川や清武、乾、岡崎らと同じく2列目で、カウンターの際にはトップに絡んでいくような役割となるだろう。

 デュッセルドルフは4-2-3-1をベースに、時に4-4-2、4-3-3と、相手に合わせて変えるサッカーをしている。シャヒンやラファエルといった前線に入る選手といかに絡んでいけるかが大前の課題となる。

「練習していてとても楽しいけれど、もっと楽しくしていけると思う。試合に出てチームで求められていることをやって、その上で自分の特徴を出していきたい。そして得点を取りたい」(大前)

 得点を取りたい、というところに力を込めた。

 大前獲得の二つ目の理由はデュッセルドルフという土地柄にある。5000人以上の日本人が居住し、日本領事館もあり、欧州でも最大級の日本人街がある。クラブ側も「日本人社会と共に歩んできた我々にとって念願が叶った」と、ニーズがあったことを明かしている。大前の活躍次第では、日本企業に働きかけやすくなることは間違いない。
 
 大前への期待は決して低くない。日本人選手がドイツである程度、活躍できることは当然視されているのだ。少しでもその上にいくことができるか。期待値の高さは厳しさにつながる。プレッシャーはかかるだろうが、楽しみな挑戦が始まる。

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