2013.01.18

【ドイツ】デュッセルドルフが大前元紀にかける二つの期待

  • 了戒美子●文 text by Ryokai Yoshiko
  • photo by AFLO

リーグ戦再開前のフレンドリーマッチに出場した大前。デュッセルドルフは1月20日、アウフスブルクと対戦する   今週に入って、東京とほぼ同じタイミングでデュッセルドルフも雪に見舞われた。雪は毎日、少しずつ降り続け、気温は昼間でも0度前後と冷え込んだ。何面もあるピッチのほとんどは降り積もった雪に覆われたままだ。練習に使用するピッチにだけは整備の車が入り、選手たちはその横で何もなかったかのように練習を始めた。ウォーミングアップの軽いジョグから、パス交換、輪になってのパス回し……大前元紀もすっかり溶け込んだ雰囲気でピッチを走り回っていた。

 練習後に声をかけると、大前は苦笑いをしながらあたりを見渡した。

「直前に合宿していたスペインも暖かかったし、静岡も暖かいところだったので、びっくりですよ」

 あたりは日本の都市部では見られないほど、一面真っ白に染まっている。

 大前はこの冬、清水エスパルスからフォルトゥナ・デュッセルドルフへ完全移籍を果たした。昨季はJリーグで全34試合出場、13得点。在籍した5シーズンのトータルが83試合出場、24得点だから、昨季の躍進ぶりがうかがえる。この活躍を受けて、デュッセルドルフは獲得を決めた。

 獲得に際して、ボルフベルナーSD(スポーツ・ディレクター)は「スピードがあって得点能力がある選手を獲得できて嬉しい」と語っている。ビルト紙には「スシ・ドワーフ」(ドワーフは想像上の種族)という表現も踊った。日本製で小柄、未知の存在であるというニュアンスが込められている。

 今季前半戦のデュッセルドルフは得点不足に悩んできた。失点数22は7位で、決して悪くはない。昇格直後にもかかわらず、開幕から5戦連続無失点を続けて注目を浴びた時期さえあった。一方で得点数の20はワーストから数えて7位だった。そして現在の勝ち点は21で13位。とはいえヨーロッパリーグ出場権獲得圏内の6位マインツの勝ち点が26だから、上位との差は大きくない。攻撃力を強化すれば上位進出、欧州戦進出も夢ではないというわけだ。