2012.12.17

【クラブW杯】チェルシーの「個の能力」を
上回ったコリンチャンスの「チーム力」

  • 浅田真樹●取材・文 text by Asada Masaki
  • photo by Fujita Masato,Sano Miki

優勝は南米王者のコリンチャンス。堅守でチェルシーの攻撃を封じて1-0で勝利 中盤で激しく繰り広げられるボールの奪い合い。タイトルマッチでは、よく見られる光景である。だが、そうした試合の場合、得てして試合時間の多くがボールの奪い合いに費やされ、ともすれば退屈な試合になりがちだ。

 しかし、この日は違った。

 ヨーロッパ王者チェルシー(イングランド)と南米王者コリンチャンス(ブラジル)の顔合わせで行なわれた、今年のクラブW杯決勝は、1-0でコリンチャンスが勝利。結果は最少スコアでの決着だったが、激しくボールを奪い合い、それでいて両チームがいくつものチャンスを作り出すハイレベルな攻防は、クラブ世界一を決めるにふさわしい見応えのあるものだった。

 そんな好ゲームを生み出した最大の要因は、コリンチャンスの積極果敢な戦いぶりにある。ボクシングに例えるなら、がっちりとガードを固めるのではなく、相手の懐(ふところ)に飛び込んでパンチを繰り出すことで相手の攻撃を封じる。そんな勇猛な姿勢で、スター軍団を相手にしてもひるむことなく、高い位置からのディフェンスを仕掛け続けた。

 ポイントとなったのは、前半15分でのシステム変更である。コリンチャンスのチテ監督が語る。

「はじめはエメルソンを左に置いていたが、(チェルシー右MFの)モーゼスがサイドに開いてプレイしていたので、(コリンチャンスから見て)左サイドの守備が苦しくなっていた。そこで、開始15分でダニーロを左に置き、エメルソンを前線で自由にした」

 この決断がいかなる変化をもたらしたのか。指揮官は、そこには次のような狙いがあったと明かす。