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【ドイツ】
現地で本当に評価されている日本人選手は誰か? 2012通信簿 (2ページ目)

  • 鈴木良平●解説 analysia by Suzuki Ryohei
  • photo by Getty Images

 清武に続くのは、ブンデスリーガ3年目となるシャルケの内田篤人だろう。

 もっとも内田の場合は、ステフェンス監督に最初から評価されていたわけではない。過去に指導を受けたマガト監督やラングニック監督のときもそうだったが、フィジカルの弱さから露呈する守備面の脆さを不安視されていた。

 それでも最近は、移籍当初と比べるとかなり守備面もレベルアップし、フィジカルも強くなった。今シーズンは早々に監督の信頼を得て、ファーストチョイスの右サイドバックとしてプレイしている。

 最大の特徴である攻撃参加と精度の高いクロスは健在で、何と言っても右サイドアタッカーのファルファンとのコンビネーションがいい。ファルファン自身も内田とのプレイを好んでおり、このふたりの縦関係は今のシャルケに不可欠なパーツとなっている。

 サイドバックというポジションだけに常にスポットライトを浴びているというわけではないが、現地メディアも安定した内田のプレイに及第点を与えている。露出は少なくても、シャルケという強豪クラブでレギュラーを勝ち取って、何ら問題なくプレイしていること自体が、十分に評価されている証拠だろう。

 今、ドイツ国内での評価が高まる一方なのが、昨シーズンの冬の移籍でシュツットガルトに加入した酒井高徳。2年目を迎えた今季も、堂々とレギュラーとして活躍している。

 酒井が評価されている最大の理由は、左右どちらの足でも正確なキックが蹴れることにある。それもあって、ラバディア監督は加入当初から左サイドバックのスタメンを張っていた酒井を、今季から右サイドバックにコンバート。選手層の薄い右サイドバックの穴を埋めることに成功し、さらに評価を高めた。

 また、第16節のシャルケ戦では、酒井が周囲から厚い信頼を寄せられていることを証明するシーンがあった。

 それは、危険なスライディングをして退場処分受けた酒井に対する周りの反応だ。ボビッチGMが酒井に駆け寄って肩を叩いて慰めれば、監督やチームメイトもレフェリーに向かって激昂し、酒井を擁護した。そうした光景は、ドイツではほとんど見られない。そこから、酒井がいかにチーム内で重要視されているのかがうかがえた。

 日本での報道は少ない酒井だが、フロントは酒井が日本代表に招集される際には常に不満を漏らすなど、現地ドイツにおける評価は日本人選手屈指のレベルになりつつある。

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