【クラブW杯】エース佐藤寿人もあと一歩届かず。
広島の敗因はどこにあったのか?

  • 浅田真樹●取材・文 text by Asada Masaki
  • 佐野美樹●撮影 photo by Sano Miki

同点弾を決めた佐藤寿人。しかし、ほかの決定機を外してしまいチームは惜敗同点弾を決めた佐藤寿人。しかし、ほかの決定機を外してしまいチームは惜敗 MF森崎和幸が「勝てた試合。詰めが甘かった」と言えば、FW佐藤寿人は「サンフレッチェらしさが出せただけに悔しい」。

 クラブワールドカップ準々決勝。J1王者のサンフレッチェ広島は、アフリカ王者のアル・アハリ(エジプト)を相手に押し気味に試合を進めながら決定力を欠き、1-2で敗れた。

 冒頭の2選手の言葉にもあるように、広島にしてみれば、あまりにもったいない試合だった。

 確かに試合序盤、ゲームをコントロールしていたのは、アル・アハリのほうである。広島はアフリカ王者のテンポのいいパスワークに対応が遅れ、劣勢を強いられた。実際、先制点を許したのもこの時間帯でのことだ。だが、その後の広島は「自分たちのサッカーができていたし、チャンスも作れていた」(佐藤)。広島にしてみれば、あとはゴールするだけ。そんな試合展開になっていた。

 カギを握っていたのは、エースストライカーの佐藤である。

 3-4-2-1のフォーメーションを採る広島の前線は「1トップ2シャドー」が基本だが、攻撃時は「4」の両サイドが前線まで進出するため、5人が高い位置にポジションを取ることになる。これに対して、アル・アハリは実質「6バック」にし、しかも引いて守るのではなく、DFラインをかなり高く設定するという、積極的とも無謀とも言える策を採ってきた。

 今季J1で22ゴールを挙げ、得点王を獲得した佐藤の特徴は、DFラインとの駆け引きに長け、巧みに背後のスペースを突くことができる動き出しのうまさにある。それを考えると、高いDFラインの背後に広大なスペースを空けてくれるアル・アハリとの相性は極めてよく、佐藤にとってはまさに「腕の見せどころ」のはずだった。

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