【ドイツ】先制ゴールの宇佐美貴史、「実は正夢を見たんです」 (2ページ目)

  • 了戒美子●文 text by Ryokai Yoshiko
  • photo by GettyImages

 この日は立ち上がりから気合い十分だった。宇佐美が入ったのは左MF。シュツットガルトの右は中盤が岡崎慎司、DFは酒井高徳で、日本人が密集するエリアとなった。特に五輪代表仲間だった酒井はライバル意識を露(あらわ)にしていた。

「宇佐美に対しては、ボール持たせることをなるべく避けたいなと思った。なるべく強くいこうと思ってたんですけど......。前を向かせて、というのはあまりなかったですけど、唯一失点のところで決められたのは悔しいですね」と、酒井は語る。
 
 5分。左サイドで宇佐美が酒井からボールを奪い取る。酒井がボールの出しどころを少し考えていたその隙だった。宇佐美は味方とワンツーで抜け出すと、ボランチ2人を抜き去り、ペナルティエリアに入ると最終ラインも突破、最後はフェイントでもう1人をかわして、冷静にGKの股を抜きゴール右隅に突き刺した。

「最初のディフェンスがすごい軽かったので、あれでスピードに乗れた。相手のセンターバック二人もあまりスピードある方ではないと思っていたので、スピードで振り切れた。前ならあのまま打っていたと思うんですけど、なぜか冷静になれて、切り返しもうまくできて。理想通りというか、1人でとれたのでよかったです。あのときはもう自分でいくことしか考えてなかったし、最近はもうあのポジションで(ボールを)持ったら自分でいくことしか考えてないです」

 自信のドリブルは時に独善的に見えることもあったが、この日はチームにフィットしていた。
 
 ホッフェンハイムにとって大きいのは、今季初めての無失点での勝利たったことだ。ここまでは大量失点を繰り返し、総失点数はシュツットガルトと並ぶ最低の12。開幕前のドイツ杯でアマチュア相手に0-4と敗れ、そこから前節まで、ずるずると失点を繰り返してきた。

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