【ドイツ】2試合連続得点。乾貴士「この前のゴールは忘れようと...」

  • 了戒美子●文 text by Ryokai Yoshiko
  • 木場健蔵●写真 photo by Koba Kenzo

試合後、サポーターの声援に応える乾(フランクフルト)試合後、サポーターの声援に応える乾(フランクフルト) 第3節までニュルンベルクは2勝1分、フランクフルトは3連勝と、好調同士の対戦となった。そしてニュルンベルクでは清武弘嗣が、フランクフルトでは乾貴士が、ともに新加入選手ながらすでにレギュラーの座を確保している。

 清武は前節、キッカー誌のMVPに選ばれ、ここまでのチームの全得点に何らかの形で関わるという活躍ぶり。乾も前節は技ありトラップからのシュートで高い技術を見せつけている。C大阪出身の二人は、開幕から上々の滑り出しを見せている。

 そんな注目の一戦、軍配は1-2でフランクフルトに上がった。

 ともに簡単にはロングボールを蹴らないパスサッカーを志向しているが、ニュルンベルクは最終的にセットプレイがカギになっている。流れの中からのチャンスは数えるほどで、それも前半38分に清武が放った強烈なミドルシュート(左ポストを直撃)など、単発なものに終始した。

 ただ、そのセットプレイの精度が抜群に高い。ここまでたびたび得点になっていることから、味方も自信をもってゴール前で競り合うことができている。乾も「キヨのセットプレイのボールが良くて、今日は本当にそれが怖かった」と、その威力を認めている。

 ほとんどのセットプレイでキッカーを務める清武には大きな声援が送られる。かつて代表戦などで中村俊輔がセットプレイに向かうときのような歓声、と言えば分かっていただけるだろうか。あまり他の試合では経験したことのないような期待感がスタジアムに満ちるのだ。実際、0-2で迎えた76分の得点は清武のFKから。途中交代で入った長身選手が頭で合わせる、狙い通りの得点だった。

 ただしその清武も決して流れの中でのプレイに関しては満足とはいかないはずだ。2列目中央でプレイをするが、味方と連動してゴールに向かうシーンは少なく、ボールが回ってこない時間帯もあった。今季初黒星に、「負けて悔しい。でもこれが自分たちの現状だと思う」と、言葉少なに語った。今後はセットプレイ以外で味方を動かす役目を求められることになるだろう。

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