【イングランド】アシストで勝利に貢献も、香川真司「手応えはまだ」 (2ページ目)

  • 了戒美子●文 text by Ryokai Yoshiko
  • photo by GettyImages

「うまくボールをとってからいいスピードで運べた。ああいう形は大事」と、香川も満足そうな表情を見せた。

 だが、その後マンチェスター・ユナイテッドは徐々に失速していく。前への意識が薄れだし、全体の距離が広がり始める。中盤や低い位置での不用意な横パスを奪われ、カウンターをくらうケースもしばしば。香川は守備にまわる時間が増えていった。

「ドルトムントみたいな前からの守備ではなく、引いて守るのでなかなか押し上げられない。それに慣れていかないと......。ボランチがルーズなので、僕が守備にいかないといけないのはしんどいものがある」

 香川の好守備から攻撃に転じる場面もあったが、ファン・ペルシーと2トップに近い形で起用されている者としては、やはり本望ではないだろう。

「どうしていくかは考えなきゃいけない、僕自身がキープして落ち着かせる必要があるかも......」と、考え込むような表情も見せた。

 この日、チームは香川のアシストによって勝利を収めたにもかかわらず、報道陣と相対した香川の表情は終始厳しいものだった。

 理由のひとつには本人が言う通り「得点を決められなかった」ということがあるだろう。32分、スコールズとのパス交換から左サイドのナニに展開。ペナルティエリアでボールを受けた香川は突破を試みるが、ひとりはかわすもののシュートには至らなかった。前半ロスタイムにはキャリックのパスに中央で抜け出してファーストシュートを放つが、これはGKが正面でキャッチした。77分には右サイドを上がったラファエルからのパスを受け、ゴール前に運び左足でシュートを放つが、これも力がなかった。 

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