【EURO】アクシデント多発のイタリア代表、メンバーはユーベ中心に

  • 内海浩子●文 text by Uchiumi Hiroko
  • photo by Getty Images

アクシデントに悩まされるプランデッリ監督(右)とバロテッリアクシデントに悩まされるプランデッリ監督(右)とバロテッリ 世の中、予期せぬことが起こるもの。だがEURO開幕を直前にしたイタリア代表には起こりすぎだ。

 5月28日早朝、イタリアサッカー界を揺るがしているサッカー八百長で、クリッシトに対し捜査令状が出た。彼は攻撃力優れる左サイドバックで重要なレギュラー。令状は事情聴取のためで、逮捕されたわけではない。だが動揺する本人の精神状態は練習を続けられるものではなく、しかも大会中に参考人として呼ばれる可能性もあることから、プランデッリはメンバーから外す決断を下した。

 その翌日、アズーリには親善試合が予定されていた。EURO予選終了後、昨年11月から現在まで2試合しか試合をしていないチームにとって貴重なテストマッチだった。ところがその日の朝、試合会場のあるイタリア中部を襲った大地震によって試合は中止。こうしてプランデッリは、6月1日のロシアとの親善試合だけで、EUROを迎えなければならなくなってしまった。

 2006年W杯の直前に起こったカルチョーポリ(イタリアサッカー界を揺るがした一連の不正事件)と重ね合わせる向きもある。だが、あの時と今回は少し違って見える。6年前は、周囲のバッシングから身を守るように外界との間に壁を作り、チームが団結して、結果、W杯を制した。一方、今のアズーリはこの現状を、身を裂かれるような思いをしながらも受け入れようとしている。デ・ロッシは言う。「(不正を調査解明していくことは)EUROよりも、もっと重要なことだ」と。

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