【イタリア】インテル監督交代は長友佑都にとって吉と出るか凶と出るか (2ページ目)

  • 内海浩子●文 text by Uchiumi Hiroko
  • photo by SINO/FOOTBALL PRESS

 今季の長友が、安定感に欠けた"ミステリー"な選手と化してステップアップできずにいるのは、敵が彼の動きを把握してきたこともあるが、迷走したチーム事情も考慮に入れるべきである。事実、DF陣をざっと見るだけでも、イタリア若手のホープであるラノッキアどころか、あのルシオまで精彩を欠いている。

 選手が混乱するのは無理もない。今季はインテルの悪癖である無計画性があからさまに結果となって表れたシーズンとなった。「攻撃こそ最大の防御」がモットーのガスペリーニでスタートし、「まず守備ありき」のラニエリが引き継ぎ、あげくに「若手の力を引き出しながら勝つ」という難題を課せられた新人ストラマッチョーニにバトンが渡るという中でチームのコンセンサスを保つのは至難の業だ。移籍後14ヵ月で4回も監督が代わるという境遇に置かれた長友に戸惑いが生じるのも無理はない。

 だが近年台頭してきたイタリア人監督によく見られるように、ストラマッチョーニも速攻ではなくボールポゼッションを重視したサッカーを志しており、長友にとっては悪くない監督交代であるようにも思われる。例えば練習でもSBがFWにからむ動きを積極的に取り入れるなど、新監督から学ぶことは少なくなさそうだ。

 何はともあれ、"パッツォ"(クレージー)と自ら称するインテルというクラブに入った以上、この手のお家騒動は覚悟しなければならない。それがインテリスタの宿命なのである。

2 / 2

関連記事

キーワード

このページのトップに戻る