2012.02.16

【イングランド】
カペッロがイングランド代表監督を辞めた本当の理由

  • サイモン・クーパー●文 text by Simon Kuper森田浩之●訳 translation by Morita Hiroyuki
  • photo by Getty Images

FAから辞任が発表される直前、プレミアリーグの試合を観戦に訪れたカペッロ【サイモン・クーパーのフットボール・オンライン】カペッロ辞任の意味(前編)

 表向きの説明をたやすく信じるわけにはいかない。ファビオ・カペッロがイングランド代表監督を辞任したのは、FA(フットボール協会)がジョン・テリーから主将の座をはく奪したためだという、あの話である。

 キャプテンの腕章によけいな重みが加わっている。カペッロが関心を払ってきたのは、あくまで試合に勝つことだ。今回の辞任は、イングランド代表にはこの夏の欧州選手権(ユーロ2012)で優勝する力がないとカペッロが判断したことを示している。

 キャプテンの主な仕事は、イングランド代表に密着しているメディアの相手をすることだ。振り返ってみれば、カペッロもキャプテンを「お飾り」程度にしか考えていなかったことがわかる。2年前にワールドカップを目前にしていた頃、テリーはイングランドのフットボール界ではよくあるセックススキャンダルのためにキャプテンを一度降ろされた。しかしカペッロはさほど騒ぎ立てもせず、決定に従った。

 今回もカペッロはFAと衝突したから辞めたわけではないだろう。彼の長いキャリアは衝突の繰り返しだ。なにしろレアル・マドリードを2度目に率いたときには、その頃世界一の選手だったロナウドの裸を見て「そんなに太って恥ずかしくないのか」と言い放った人物である。