【S・クーパー】アレックス・ファーガソンが監督として成功した理由 (2ページ目)

  • サイモン・クーパー●文 text by Simon Kuper 森田浩之●訳 translation by Morita Hiroyuki
  • photo by Getty Images

 ファーガソン流「賢いマネジメントの8カ条」をあげてみた。

1 自分を企業イメージの一部にせよ。

 ファーガソンがユナイテッドの監督をクビにならない理由のひとつは、彼がただの雇われ監督ではなく、クラブの価値を体現する存在になったことだ。そうなるにはそれなりの研究が必要だった。

 1986年にユナイテッドの監督に就任すると、ファーガソンはスタッフからクラブの歴史について話を聞き、ファンの声も聞いた。こうして彼は、ユナイテッドというブランドの3本柱を理解した。第一に、ユナイテッドは常に攻めなくてはならない。第二に、ユナイテッドは世界を敵に回している。第三に、ユナイテッドはただのフットボールクラブというより、ひとつの「理念」に近い。「私の仕事は寺院の管理人のようなもの」とファーガソンは語ったが、それはこの理念が自分なしでは成り立ちにくくなっているという意味だ。

2 自分の最も強力な性格を武器にせよ。

 ファーガソンの場合、それは短気であることだ。彼が初めて監督を務めたイースト・スターリングシャーでプレイしたボビー・マッカリーは「それまで怖いと思った人などいなかったが、ファーガソンは最初から猛烈に怖かった」と言う。

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