2012.01.22

【S・クーパー】アレックス・ファーガソンが語る指導者に必要な資質

  • サイモン・クーパー●文 text by Simon Kuper森田浩之●訳 translation by Morita Hiroyuki
  • photo by Getty Images

マンチェスター・ユナイテッドを率いて25年になるファーガソン(左)と、バルセロナ監督4シーズン目のグアルディオラ【サイモン・クーパーのフットボール・オンライン】ファーガソン流マネジメント術(後編)

4 情報はあらゆるルートで収集せよ。

 トニー・ブレア元英首相の側近で、アレックス・ファーガソンの友人でもあるアラステア・キャンベルは、リーグ監督協会(LMA)がファーガソンの功績をたたえるために開いた昼食会のことをよく覚えている。「彼にはその場にいる他の監督を引きつける力があった」と、キャンベルは言う。「監督と監督経験者が何十人もいたが、ファーガソンは全員を知っていた。いつも彼らに電話して、新しい情報を得ようとしている」

 マンチェスター・ユナイテッドを去って何年もたっている選手たちにも、ファーガソンは電話をかける。彼は情報源を、相手が死ぬまで放さない。ファーガソンの伝記を書いたパトリック・バークレイは、フットボール界で彼ほど多くの葬儀に出席している人物はいないだろうと記している。

5 完全な支配をめざせ、しかし完全な支配などできないことを忘れるな。

 ファーガソンはキャンベルに、指導者にとって必要な3つの資質を語ったことがある。「支配、変化への対応、そして目配り」

 独裁者なら誰もが知るように、「恐怖+情報=支配」という公式が成り立つ。ファーガソンは選手について何でも知っている。トイレの習慣まで知っている(ふだんよりトイレに行く回数が多い選手がいると、ファーガソンは調査を始める)。

 反発する者はたいてい追放される。しかし2010年にウェイン・ルーニーがマンチェスター・シティへの移籍をほのめかして騒ぎになったとき、ファーガソンは彼を許した。ルーニーの代わりはいないことを、ファーガソンは知っていた。