Jリーグ開幕戦は白熱の逆転劇 だが観客、視聴者にとって「価値あるイベント」になっていたか (3ページ目)
観客ファースト。イベントとしての評価を論じようとした時、物差しになるのはこの精神だ。来場者がどれほど満足して帰路につくか、だ。もちろん、毎試合4-3の逆転劇は期待できない。サッカーなので1-0の渋い試合もある。試合内容に当たり外れはある。
それでもファンをリピーターにするためには、座席に着いただけで入場料分を回収したぐらいの気分にさせる必要がある。ワールドカップのチケットは確かに高額だったが、観光体験としての満足度も高かった。多くの観客はこのスタジアムでサッカーを観戦できる喜びを感じたのではないか。
規定の時間をオーバーして悪評だった決勝戦のハーフタイムショーも、究極の選択にはなるが、筆者は肯定的な立場に立つ。高いチケット代を払っている観客にとって有名なアーティストのパフォーマンスは、むしろうれしくなる、欲している施策ではないか。
横浜FM対鹿島戦でもパフォーマンスが展開された。だが、特に大きな驚きはなかった。テレビを視聴した友人から「現場で見た花火はきれいだったか?」とメッセージが届いたが、客席からは上空がよく見えない。テレビを意識したパフォーマンスと言えた。ハーフタイムには人気アイドルグループがライブを披露した。ワールドカップの決勝ではないが、もっと誰もが驚くような大物を招いてもよかったのではないか。
鹿島、横浜FMの熱狂的なファンは、スタジアムに高い確率でやってくる。だが国立競技場はそれだけでは埋まらない。この日もどちらのファンでもない中立の立場で訪れたと思われる観客は、パッと見、3割ぐらいはいた。舞台がアクセスに優れた国立競技場であるという理由でやってきた新規のファンもいたはずだ。
国立競技場での試合は今月21日(FC東京対ジェフユナイテッド千葉)と23日(FC町田ゼルビア対浦和レッズ)にも組まれている。価値あるイベントにしてほしいものである。
著者プロフィール
杉山茂樹 (すぎやましげき)
スポーツライター。静岡県出身。得意分野はサッカーでW杯取材は2022年カタール大会で11回連続。五輪も夏冬併せ9度取材。著書に『ドーハ以後』(文藝春秋)、『4-2-3-1』『バルサ対マンU』(光文社)、『3-4-3』(集英社)、『日本サッカー偏差値52』(じっぴコンパクト新書)、『「負け」に向き合う勇気』(星海社新書)、『監督図鑑』(廣済堂出版)、『36.4%のゴールはサイドから生まれる』(実業之日本社)など多数。
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