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太田宏介のJリーグ最強ベストイレブン「僕のスーパーアイドル」「ボールが笑っている」選手たちをセレクト (2ページ目)

  • 篠 幸彦●取材・文 text by Shino Yukihiko

【何回もマネをした】

センターバック 森重真人(FC東京)

 真人も同い年で、長い間一緒にプレーしてきた選手です。彼にボールを預けておけば安心して上がるタイミングが作れたし、頭もよくて守備範囲も広いので、僕が裏を取られても、まるで僕のミスではないかのようにカバーしてくれました。

 2015年に真人がここまでのキャリアハイの7得点を取りましたが、その背景には僕のアシストがありました。「ここ」というところに蹴りさえすれば、真人が入ってきて決めてくれるので、本当に楽しかったですね。

 同い年の真人が先に日本代表に入って、代表選手としての振る舞いや圧倒的なパフォーマンスを見せてくれたことが、すごく刺激になっていました。僕は結構ルーズなところがあったんですけど、真人がいたからこそ野心や向上心を持てましたね。プライベートでも仲がよく、なんでも話せる存在で一生付き合っていくひとりだと思います。

センターバック 千葉和彦(アルビレックス新潟)

 千葉ちゃんはプレーもさることながら、やっぱり人間性ですね。名古屋で初めて一緒になって、彼は2年間でリーグ戦に出場したのが1試合、時間もたった1分だったんです。僕もケガをしたり、出たり出なかったりという時期でした。

 そうしたなかで、彼は365日あの明るさで、練習前の準備、終わったあとの自主練をこなしていました。チームの若手からベテラン、現場やフロントスタッフ、さまざまな人がいるなかで、その組織をまとめ上げる人間力。僕はものすごく影響を受けました。

 試合に出られなければ、文句や態度に出てしまう選手を何人も見てきました。なんで千葉ちゃんは、こんな楽しそうに毎日サッカーに取り組んで、人よりも何倍も努力して、苦しいところをまったく見せないのか? 先輩の背中を見て、ここまですごいなと思ったことはなかったです。

 僕は町田でも出られない時間が多かった。そのなかでベテランとしての振る舞い、姿勢というのは、千葉ちゃんがすごく参考になりました。

左サイドバック 三都主アレサンドロ(元清水エスパルス、浦和レッズほか)

 僕のスーパーアイドルです。代名詞でもある"裏街道"は何回もマネしました。前への推進力、左足のクロス、ドリブル、あとはキャラクターも含めて、すべてが大好きでした。トントンと軽く跳ねているような走り方のフォームとか、クロスの弾道は、ものすごく参考になりました。

 初めて対戦した時に、ユニフォームが欲しかったんですよ。試合が終わったあとに整列して、握手する時にお願いしようと決めていたのに、憧れの人が目の前に来たらなにも喋れなくなってしまって......。アイドルのファンと同じような気持ちでしたね。それは現役時代に悔いが残っていることのひとつです。

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