ジダンに憧れたジェルマンがストライカーとして活躍できた理由を語る 期待するサンフレッチェ広島の若手3人とは? (2ページ目)
【日本のサポーター文化を賞賛】
そんな時にジェルマンを支えたのは、広島のファンの声援だ。彼が長くプレーしたモナコはそもそも住民が少ないうえ、フットボールに興味を持つ人も多くなく、ホームスタジアムに5桁の観客はなかなか入らない。マルセイユには熱狂的なサポーターがいたが、彼らは時に熱くなりすぎるきらいがあった。ジェルマンは言う。
「もちろん日本のファンにも熱い人はいるが、節度を守って応援してくれる。あとは概して穏やかな人々だ。相手の選手やサポーターにも敬意を払う人が多く、不穏な空気を感じることはほとんどない。
だから日本のスタジアムは、声を出して応援してくれる人だけでなく、子どもや女性、家族と、誰もが楽しめる場所になっている。雰囲気も最高だ。これは本当にすばらしいことだと思う。フランスでは、こうはいかないよ。基本的にフットボールのスタジアムは男たちの場所だ。相手の選手やサポーターは敵だから、悪態をついたり、野次を飛ばしたりする対象で、仲良くなるようなことはほとんどない」
1990年にマルセイユで生まれ、フランスで育ったジェルマンにとって、8歳の時に自国開催のW杯で世界一になったフランス代表のエース、ジネディーヌ・ジダンは同郷でもあり、特別な存在だ。またマルセイユでリーグ・アンを3連覇した父ブルーノには、最も大きな影響を受けた。
ただし父はセントラルMFで、ジェルマンの独特な得点感覚やポジショニング、間の取り方は、彼に教わったものではないと思える。憧れたジダンにしても、攻撃的なMFだった。
「フットボールは自由なスポーツだから、とにかく"見て盗む"ことが大事だと思う」とジェルマンは言う。
「自分はジダンに憧れ、父が最初のコーチだったけれど、彼らとは違ってストライカーを目指したので、我流で今のスタイルを築いたんだ」
広島に加入して最初の試合となったACL2のライオン・シティ・セイラーズ戦でのヘディングのゴールや、湘南ベルマーレとのリーグカップ準々決勝第2戦の後半途中に投入され、追加タイムに頭で決めた決勝点を見るかぎり、密集地帯で瞬時にフリーになれる稀有な能力がジェルマンには備わっているようだ。参考にした選手は、フィリッポ・インザーギとか?
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