検索

【高校サッカー】古豪・東京朝鮮高サッカー部の今「個でやるよりかはチームでやる」「目標にしている日本人選手は遠藤航」 (2ページ目)

  • 吉崎エイジーニョ●取材・文 text by Yoshizaki Eijinho

【日本の高校を選択するケースも】

 今、在日コリアン自体の人口も減少している。2023年の6月の時点で韓国籍・朝鮮籍を含めて43万6570人(日本政府出入国在留管理庁調べ)。これは2013年から10年で2割弱も減っている数字だ。

 東京朝鮮高の生徒数も減っている。「1997年頃は全校生徒で1200人いたが、今は300人くらい」(同高サッカー部OB会長の丁明秀氏)。当然この余波はこのサッカー部にも及んでいる。民族学校ゆえ、選手を輩出しうる分母に限りがあるのだ。

 さらに進路選択時に「外のチームを選択するケース」もある。

「初(小)・中は朝鮮学校でプレーしていても、日本の学校でちょっとチャレンジしてみたいっていう選手は当然のごとくいます。昔からそれはあったことですが。最近では朝鮮学校に在籍しながらサッカー部には入らず、クラブチームでやる子も出てきています」(姜宗鎭監督)

 では、実際にプレーする選手たちはどんなことを考えているのか。

 10月16日の練習後、最後の選手権予選を控えた3年生12人に集まってもらった。録音用のスマホをポンと真ん中に置き、円座で言葉を交わした。

――東京朝鮮高でプレーしてよかったと思うところは?

「やっぱ朝鮮人に生まれた以上は、朝鮮人として生きていかないといけないと思うんです。とはいえ僕自身も、中学校の頃は高校選手権に憧れて、日本の高校に行く選択肢も考えました。ただ、受験勉強をやっているうちに『何のために勉強してるんだ?』と考えるようになったんです。日本史をやっている時などにです。そうしているうちに朝鮮学校で勝つことを考えるようになった。なぜなら、勝つことで全国の朝鮮同胞たちが喜ぶって考えた時に、やっぱり自分はここでやりたいと思うようになりました」

「僕は長野から東京朝鮮に入学しました。僕も一時は日本の学校に行くことも考えました。でもある時、朝高の試合を見たんですよね。その時に技術っていうよりかは魂みたいな、なんか泥臭さを感じたんです。技術も大切だけど、やっぱり魂だなと思って。さらにここに入学して、朝鮮学校ができた歴史について学びました。すると、みんなのためにプレーする重要性も感じるようになって。応援してくれる同胞がいます。そのために自分も頑張っていかなきゃいけない。そう思えたことが、この朝鮮学校に通っていてよかったところです」

――10代としての声も聞いてみたいです。K-POPとか韓流ドラマとかは観たりするの? どんなのが好き?

「(ホ・)ユンジン」「ガウル」「『愛の不時着』」

 なぜか、LE SSERAFIM(ルセラフィム)とIVE(アイヴ)のメンバーの名前がピンポイントで挙がった。『愛の不時着』は「朝鮮人と日本人では見方が違うだろうなと想像するのが楽しかった」という。

――日本のサッカーはどう見てる?

「やっぱり、日本人は足下のプレーもうまいし、技術・戦術もレベルがどんどん高くなっていますね。僕が目標にしている日本人選手は遠藤航です」

――朝鮮のサッカーとの違いをどう感じていますか?

「練習試合は基本的には、日本の学校とやります。ほんとにうまい選手がたくさんいる。集中力を発揮した時のうまさが本当にすごい選手がいますよね。僕たちは決してうまいヤツらが集まった集団ではないんで、個でやるというよりかはチームでやる。そういったところは日本の子とはちょっと違うかなと」

 思いは強い。ただ、生徒数の減少という変化は、現実問題として部にのしかかっている。そんな現状を感じて取れた。

2 / 3

キーワード

このページのトップに戻る