検索

【部活やろうぜ!】元サッカー日本代表DF森重真人の広島皆実高での日々 「地元で全国を目指せるところに決めました」 (2ページ目)

  • 井川洋一●取材・文 text by Igawa Yoichi

【文武両道かつ、音楽などの芸術にも力を入れている高校】

 現在38歳の元日本代表の母校、広島県立広島皆実高等学校は2009年に高校選手権を制した名門で、彼のほかにも、下田崇や前川黛也といったサッカー日本代表経験者を輩出している。またサッカー以外にも、陸上競技の為末大、ミュージシャンの奥田民生や吉田拓郎、さらにはコンピューターグラフィックスのパイオニアと称される東京大学名誉教授の西田友是など、さまざまな分野のトップランナーを世に送り出している。文武両道に加え、音楽などの芸術にも力を入れている学校と想像する。

「普通科、体育科、看護科などなど、多種多様な高校です」と森重は応えた。

「僕が在籍していた体育科も、サッカー、バスケ、柔道、剣道、卓球、陸上など、全国レベルの選手が集まっていました。それ以外の様々な分野の人もいたと思います。自分ができたかどうかはともかく、勉強もしっかりやらないといけなかったですね」

 サッカー推薦で入学した森重は体育科に在籍し、一年中ほぼ休みなく、朝から晩までボールを追う日々が始まった。遠方からの生徒向けの寮はあったものの、広島県内に住んでいた彼は電車と自転車で1時間くらいかけて通学した。

「朝練して、授業中に寝て(笑)、また午後に部活。そのサイクルでしたね。家に帰るのも遅くて、次の日の朝も早いので、遊んでいる暇はなかったです」

 人生で初めて経験する部活には最初、戸惑いも覚えたという。

「(広島)ジュニアユースとは違って、レベルの差がありました。体育科以外の選手もいて、サッカーのエリートだけの集まりではないというか。もちろん、AチームとBチームに分かれるのですが、これが部活なんだなと思いました」

 それは今から22年前のことだ。かつての部活にありがちな理不尽な上下関係も、まだ完全にはなくなっていなかったようだ。

「ギリギリありましたね。たとえば二人組でボールを蹴っていた時、隣にボールが転がっていき、それを先輩が拾ってくれたんですけど、いきなりドロップキックをされたり(笑)。僕らが、ありがとうございます、と言わなかったことに腹が立ったみたいで。それ自体、言いがかりなんですけどね。ただ、聞こえなかっただけで。そういうのが、まだ残っていた時代でしたね」

2 / 3

キーワード

このページのトップに戻る