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【Jリーグ】ジーコも喜んだ鬼木監督の"復帰" 9季ぶり優勝に近づく鹿島アントラーズの今季を象徴する2試合とは? (3ページ目)

  • 塚越始●取材・文 text by Tsukakoshi Hajime

【「ファンの応援に選手たちはきっと応えてくれるはず」】

 DF濃野公人の吹っ切れた笑顔、植田のクールな表情での強烈なマッチアップ、鈴木の咆哮、徳田誉の涙、柴崎岳の献身......選手たちの感情の猛烈な波が、観ている者の心を捉える。それに応える歓声がまた選手たちを奮い立たせる。いま、鹿島が生み出している相乗効果だ。

 鬼木監督はこんなことを言っている。

「応援してほしい。皆さんの声援に、選手たちはきっと応えてくれるはずです」

 市立船橋高校(千葉)から鹿島に加入した鬼木監督はプロ3年目の1995年にデビューを果たし、プロ6年目の1998年に当時JFLだった川崎フロンターレへ期限付きで移籍している(その後、鹿島に1年間復帰して再び川崎へ)。

 今季の新体制発表会で、新加入選手たちとともに「憧れの選手」を問われた鬼木監督は「ジーコさんとディエゴ・マラドーナ」と答えた。鹿島で初めて練習した時の衝撃が忘れられないという。あれから32年、ジーコは「オニキ」の指揮官としての帰還を心から喜んだ。伝統は時に、より大きな勇気を与えてくれる。

 敗れた悔しさが、勝利を渇望する最大のエネルギーになる。起伏に富んだ感情の強い振れ幅が、鹿島の選手たちを立ち上がらせ、ゴールへ向かわせる。

 残すところあと5つ──伝統と改革がせめぎあうような試行錯誤の9年を経て、鹿島がついにリーグ制覇を成し遂げるか。

>>>前編も読む

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