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乾貴士の野洲高校サッカー部時代の噂は本当だった「1日7時間練習してました」 (2ページ目)

  • 鈴木智之●取材・文 text by Suzuki Tomoyuki

【自主練で家に着くのが夜の23時、24時】

 周囲の視線やプレッシャーを跳ね除けるために、乾はより一層、練習に打ち込んだ。野洲高時代、こんな噂を聞いたことがある。

 乾貴士は1日7時間、練習している――。

 本人にぶつけると、恥ずかしそうに笑みを湛えながら言った。

「ああ、してたかもしれないっす」

 そしてこう続ける。

「高校の時が一番練習してましたね。休みの日は朝からひとりでグラウンドに行って練習して、お昼ご飯はコンビニで買って食べて、グラウンドに戻って、また練習して。ひとりでずっとやってました」

 休日はもちろんのこと、通常の練習がある日も、終わった後に自主練習を続けた。

「普通の練習の日も3時間くらい練習した後、自主練でまた3時間、4時間とか。家に帰るのめっちゃ遅かったですもん。全体練習が16時からで、終わるのが18時頃。そこから自主練して、家に着くのが夜の23時、24時とか全然ありました」

 睡眠時間を削っても、練習を止めることはなかった。なぜ、そこまでして練習を続けたのか。

「1年の時に、全然試合に出られなかったんです。試合に出るためには、練習するしかないと思って。そう考えるようになってからは、先輩とか試合に出ている人が練習が終わって帰ったら、チャンスやと思っていました」

 高校1年生の時、インターハイの滋賀県予選ではベスト16で敗退。そのチームにおいて途中出場はあったが、スタメンではなかった。その時から乾は危機感を覚えていた。

「予選で負けた時に、あれ? これどうやってプロになるんやろう。こんなところで負けてたら、誰にも見てもらわれへんやん。全国に行って活躍せな、プロになるなんて無理やんって。このままじゃあかんなって思ったのを覚えています」

 プロになるためには、全国大会で活躍しなければならない。そのためには、人一倍練習するしかない。その想いが、乾を支えていた。

「その時は試合に出られてなかったので、余計に危機感を覚えて。やばいやばいってなって、練習し始めた感じでしたね」

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