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【Jリーグ】横浜F・マリノスの苦悩の根深さを分析 相次ぐ指揮官交代、エースの反乱、そして最下位へ... (2ページ目)

  • 取材・文●舩木渉 text by Funaki Wataru

アンデルソン・ロペスがチームを批判

 さらに言えば、マリノスの監督就任が内定してからの数カ月にわたってJリーグの試合を分析しながらプランを練っていたにもかかわらず、日本サッカーの特徴やトレンドを完全に読み違えていた。報道陣に対して「Jリーグには、ダイレクトなサッカーをしてくるチームが想定より多かった。もっとパスを繋ぐ、"ジャパニーズ・ティキ・タカ"が見られると思っていたのだが......」と漏らしたこともある。
 
 そうした認識の誤りを、西野SDら周囲のスタッフの働きかけで軌道修正できたのではないかという指摘はもっともだが、チームにおける最終決裁者が監督である以上、全てが聞き入れられるとも限らない。
 
 プレシーズンで積み上げてきたものがあったはずなのに3バックの導入をあっさり諦めた判断に始まり、一部の選手に負担が偏る選手起用や、個々の特徴に沿わない要求など、優柔不断ぶりが目立ち、ホーランド監督は徐々に信頼を失っていった。
 
 ただ、監督交代ですぐに状況が好転したわけではない。キスノーボコーチが暫定的に指揮を執った4月20日のJ1第11節浦和レッズ戦は1-3の完敗。試合後にロペスが吠えた。
 
「4カ月間、何も変わらなかった。監督は代わっても、やり方は変わっておらず、同じ戦術を続けている。前線のブラジル人たちを同時に使うこともなかった。まだ苦しい状況は続くし、やり方を変えずにこのままサウジアラビアに行ったら恥をかくと思う。ズルズルといったら、リーグでも降格してしまう」
 
 それまでも際どい発言は何度かあったが、副キャプテンも任されている選手が采配を公然と批判したことは、クラブ内で大きな問題に発展した。浦和戦後にはすぐACLEファイナルズを戦うためサウジアラビアへ飛ぶ予定になっていたが、クラブ関係者によれば「恥をかく」など一連のコメントがクラブ内部で問題視され、ロペスを遠征に帯同させるべきではないという意見もあったという。
 
 最終的には出国前に西野SDとロペスが面談し、言動に対して厳重注意をしたうえでサウジアラビア遠征に帯同させることに。10番を背負うエースストライカーはアル・ナスルとのACLE準々決勝でベンチスタートとなり、後半開始から出場してアシストを記録したが、マリノスは1-4で敗北。悲願のアジア制覇に向けた道は、あっけなく途切れてしまった。

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