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【Jリーグ】今季J2の魅力的なクラブをサッカーマニア平畠啓史が語る 「中盤の3枚がやばい」チームは? (2ページ目)

  • 池田タツ●取材・文 text by Ikeda Tatsu

【怖がらずにつなぐ面白さ】

 サガン鳥栖は、今季は久々にJ2で戦うことになって、小菊昭雄さんが監督になり新しい鳥栖を作っていきましょうみたいな感じだと思います。非常に丁寧にボールをつないでいて、若い選手も多いけど怖がらずにちゃんとつなぐことをやっています。

 引っかかって相手の大きなチャンスになったり、失点につながったりすると、だんだん怖くなってつなげなくなることもあると思うんですけど、鳥栖の選手は怖がらずにしっかりとパスを入れていく。その経験値みたいなのがだんだん積み重なってるなという印象です。

 いまのJリーグは「強度だ!」みたいな雰囲気になっているじゃないですか。それも大事なんですけど、サッカーの面白さってそれだけじゃないし、フットボールなんだからフットでボールを運んでほしいんですよ。もちろん、強度があるところを剥がした時の面白さもあるんですけど、そっちに寄りすぎてないかなと。鳥栖はそこをちゃんと剥がしていこうという姿勢がすごくいいなと個人的には思っています。

 ワイドの選手がかなり高い位置取っていて、右には長澤シヴァタファリ選手、左には新井晴樹選手が入っています。どちらも去年は水戸ホーリーホックでプレーしていた選手ですが、特に左の新井選手の仕掛けが面白いです。

 もうキレキレで負けん気みたいなのもすごく出ていて、「行ってやんぞ」みたいな感じがすごい。新井選手までボールが行ったら周りも「おっしゃ、仕掛けんぞ」みたいな空気感になるのも面白いですし、トップやいろんなポジションで仕事ができるヴィキンタス・スリヴカ選手の存在も大きいなと思います。

 23試合で25点(リーグ14位)しか取れていないのは課題ですけど、試合の内容を見ていたら全然悪くないんですよ。相手を崩してちゃんとゴール前まで行けているので、あとは本当にゴールだけというか、最後の局面がうまくいけば、さらに上に行くんじゃないかなと思います。

 鳥栖は、若い選手が育成組織からどんどん上がってくるのが特徴ですけど、18歳の鈴木大馳選手や17歳の新川志音選手もけっこう面白い選手なので、夏場の早いうちにこの選手たちが連続ゴールなどで乗ってきたら、もっと面白くなっていくのかなと。

 GKの泉森涼太選手もすごくいい選手。「これはできます。これはちょっと苦手です」じゃなくて、トータルのプレーレベルが高い。現役時代に鳥栖でプレーしていたGKコーチの室拓哉さんに話を聞いたんですけど。「泉森は人間的にもすばらしい」とおっしゃってました。J2を見てない人、鳥栖を見てないという人も、GKの泉森選手には注目していただきたいですね。

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