【Jリーグ連載】東京ヴェルディのアカデミーが抱えていた苦悩「ここ何年かはブランド力がなくなって...」 (2ページ目)
と同時に、2014年を最後にユースチームが、高校年代の最高峰リーグに位置づけられる高円宮杯U-18プレミアリーグから降格したことも、見過ごせないハンデとなっていた。
小笠原が語る。
「ジュニアユースからユースに上がるところでのスカウトでも、うちには来てくれなくて、よそへ行っちゃう選手は多かったですね。やっぱりいい選手はプレミアでやりたいって思うだろうし、去年声をかけた選手も、結構来てくれない選手が多かったです」
今季、ヴェルディのトップチームには、10人のアカデミー出身選手が登録されているが、そのうち2人がジュニアユースから、残る8人はジュニアからのヴェルディ育ちである。
その事実は、子どもたちの年齢が上がれば上がるほど、ヴェルディの人材獲得が難しくなっていることを、図らずも示しているのかもしれない。
とりわけ関東エリアは、多くのJクラブがひしめき合う全国屈指の激戦区だ。なかでもヴェルディが活動拠点を置く東京都西部は、FC東京、FC町田ゼルビアはもちろんのこと、神奈川県に位置する川崎フロンターレ、横浜F・マリノス、横浜FCなども、アカデミーの選手獲得においては競合相手となる。このエリアは人口も多いが、同時に争奪戦も激しい。
ヘッドオブコーチングの中村忠も、こう語る。
「子どもたちがヴェルディに目を向けて入ってくる要素のひとつとして、当然トップチームがJ1にいることが一番大きな要素になると思うんですけど、ユースに入ってくる選手に関しては、プリンスよりプレミアでやりたいっていう選手が当然多い。ジュニアユースも同じで、関東1部リーグでやっていたほうがいい。やっぱり選手も親も、できるだけ強いところでやりたいですからね。
それに、やっぱりプレミアでやることで、当然プリンスより試合のレベルの平均値が高くなるので、選手の伸び率が上がる、ということがあるのではないかなと思います」
中村は、FC東京のユースチームで監督を務めていた時代に、プレミアリーグとプリンスリーグの両方を経験した。「個人的にはプリンスのときのほうが、いろんな色のあるチームと対戦できて楽しかった」と振り返るが、それゆえ、現実もよく理解している。
「クラブとしては当然、トップリーグ(であるプレミアリーグ)でやっていたほうが、外の人の目を向けさせるという意味では大事なこと。それはしょうがない部分かな、と思います」
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