ジーコ、カズ、ゴンを抜いて...FC町田ゼルビアの中島裕希がJ1最年長得点記録を刻む日は来るか (4ページ目)
ちなみに、この40歳3カ月19日でのゴールは、J1年長得点記録の4位に。6月16日に41回目の誕生日を迎えた彼が今シーズンの残り試合でゴールを決めれば、3位の中山雅史、2位の三浦知良(アトレチコ鈴鹿)を抜くだけではなく、1位のジーコが持つJ1年長得点記録(41歳3カ月12日)を更新する可能性も出てきた。
前編にも記したとおり、中島が目指してきたFW像は、得点に固執するというよりは「なんでもできるFW」だが、彼は今、この数字に何を思うのか。
「ずっと気にしてなかったし、J1の年長得点記録のことも自分が取るまでまったく知らなかったんです。なのに去年、ゴールを決めてから結構、周りに言われることもあって、気にするようになりました(笑)。なので今は、上位にいる方たちを抜くのは恐れ多いと思いつつも、サッカーをやめるまでには取りたいって思っています。
ただ、それが自分のなかで一番上にくることはありません。まずは町田のために戦う、自分の役割を全うするということが第一で、そこにゴールもついてきたらいいなと思っています」
「やめるまでには」というワードを耳にして、この取材中、ずっと尋ねるべきか悩んでいた質問をぶつけてみる。「今を生きる」ことの連続で23年目のプロキャリアにたどり着いた中島が、いつの日か訪れる"引退"を考えることはあるのか、だ。
「川崎戦でゴールを決めた時に、『ああ、やっぱりサッカーってやめられねーな!』って思ったんです。あんなアドレナリンは、他の職業では絶対に出ないはずだから。
でもさすがに近年は、歳の近い仲間がスタジアムで、引退セレモニーをやっているのを見ると、『俺も、そろそろなのかな』と寂しい気持ちになることは増えました。増えたけど......でもその瞬間だけです。
だから、自分はどうなんだと考えることはない。同い歳でも現役で頑張っている選手はいるし、今はまだ若い選手に混ざって練習していても、『俺のほうがやれる!』って思っちゃうし、なんなら『俺のほうがいいだろ!』くらいの気持ちでいるから。そう思えている限りは、きっとその日を想像することなくこのまま進んでいくんだと思います」
自分の考えを確認するように話をしながら、「でも、いつか決める時があるとしたら」と言葉が続く。
「『こんな練習、もうついていけねぇわ! もう無理だ!』って思う日が来たら、やめると思います。あとは、プロである以上、やっぱり"必要とされる"ことがなくなれば、それはやめ時だとも思う。それまでは......求め続けられる限りは、大好きなサッカーを思いっきりやっていたい。
そのためにも今日を......いや、今日の練習は終わったから(笑)、また明日の練習をしっかりやるだけかなと。だって、さっきも言いましたけど、こうしてキャリアを振り返っても、やっぱり未来はわからないから。鹿島にいた時も、仙台や山形にいた時も、町田に加入した時も、こんなキャリアは想像していなかったし、こんなにいいことがたくさん起きるなんて思っても見なかった。
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