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ファウル判定基準問題に揺れるJリーグ、セルジオ越後は「審判が流しすぎ。選手のプレーが荒くなっている。ケガが心配だね」 (2ページ目)

  • 渡辺達也●構成 text by Watanabe Tatsuya

【選手の体の負担は以前よりもはるかに大きくなっている】

 実際、すでに"被害者"は出ていて、サンフレッチェ広島のミヒャエル・スキッベ監督は第11節の名古屋グランパス戦後の会見で、自チームの選手が負傷退場したことについて、「確実にレッドカードを出さないといけないファウルを取らなかった(*審判はイエローカードを提示)」と審判を批判していた。

 ただでさえ、今のサッカーはフィジカル重視。みんな体格がいいし、求められる運動量も多い。ひとりもサボることなく激しくプレスをかけ合い、ボールを奪ったらカウンター。5人交代制も後押しとなって、試合の最初から最後までペースを落とさずにそれを繰り返す。ほとんどのチームがそういうサッカー。Jリーグに限らず、世界的にそうだ。選手の体の負担は以前よりもはるかに大きくなっている。

 第11節のヴィッセル神戸とFC町田ゼルビアという昨季優勝争いを繰り広げた両チームの対戦も、そんな現代サッカーを象徴するような内容だった。神戸は大迫勇也、宮代大聖、町田はオ・セフンと、前線にヘディングとポストプレーの得意な選手を置いて、ボールを奪ったら手数をかけずにロングボールを放り込み、セカンドボールを狙う。とにかくフィジカル勝負で、相馬勇紀(町田)のような高いスキルを持ったドリブラーもすぐに囲まれ、潰され、持ち味を発揮できずにいた。

 時代の流れだから仕方ないと言われればそれまでだけど、世界の名門、強豪といわれるチームを見れば、フィジカル一辺倒ではなく技術で違いを生み出せる、大きな仕事のできるスター選手がいる。そういう選手をJリーグから生み出すにはどうしたらいいのか。今回の判定基準問題がそれを考えるいいきっかけになるといいね。

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著者プロフィール

  • セルジオ越後

    セルジオ越後 (せるじお・えちご)

    サッカー評論家。1945年生まれ、ブラジル・サンパウロ出身。17歳の時に名門コリンチャンスのテストに合格し、18歳の時にプロ契約を結び、MF、FWとして活躍した。「エラシコ」と呼ばれるフェイントを発案し、ブラジル代表の背番号10を背負った同僚のリベリーノに教えたことでも有名。1972年に日本リーグの藤和不動産(湘南ベルマーレの前身)から誘いを受け、27歳で来日。1978年から日本サッカー協会公認の「さわやかサッカー教室」で全国を回り、開催1000回以上、のべ60万人以上を指導した。H.C.日光アイスバックスのシニアディレクター。日本アンプティサッカー協会最高顧問。公式ホームページ【http://www.sergio-echigo.com】

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