アビスパ福岡、首位奪取の必然 新指揮官が整備した「能動的サッカーの仕組み」とは? (2ページ目)
【他のJ1のチームにない特長】
得点には至らなかったが、形に持っていけるのはポジション的優位を取れている証拠だろう。
福岡は、相手にボールを持たれても、ほとんど攻め手を与えなかった。攻めだけでなく、守ってもアドバンテージが取れていた。出どころを抑えているからこそ、パスを詰まらせることができた。安藤が積極的なチャレンジでパスカットし、前線に攻め上がるシーンもあった。
早々と先制点を奪われたものの、それはあくまで個人プレーの問題で、福岡の優勢は揺るがなかったのである。
37分には同点に追いつく。敵陣でのスローインを前嶋洋太がヘディングでカット。ポジションで先手を取る構図は、その後の一連のプレーでも続く。名古が落ち着いて落とすと、それを受けた見木がすかさず横に流す。中央でパスを受けた藤本は完全にフリーで、コントロールから狙いすまして右足でファーサイドに叩き込んだ。
そして後半36分の決勝点はひとつの集大成だった。
福岡はポジション的優位を生かす形で、まずは自陣で見木がパスカットに成功。紺野がドリブルでボールを前へ運んでスルーパスし、それを受けたナッシム・ベン・カリファが右サイドをゴールライン近くまで侵入した。相手のラインを押し下げた後、後ろの前島へ。この間、エリア内では見木がマークを外すために動き直しており、そこに前島からクロスが来て、フリーで打ち込んだ。
横浜FMのディフェンスはゾーンディフェンスなのだろうが、ただ人がいるだけだった。選手個人の能力は高いが、ことごとくポジション取りで負けており、練度の低さを物語っていた。
福岡が順位を下げることは、これから十分に考えられるだろう。戦力的に突出しているわけではない。横浜FM戦も終盤、同点にされてもおかしくはないシーンがたて続けにあった。ちょっとでも腰が引けて、それぞれの判断が悪くなり、いるべき場所にいられなくなると、途端に押し込まれる。凡庸なチームに成り下がってしまうのだ。
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