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レッドブル傘下になったJ2昇格組の大宮が開幕から絶好調 元日本代表FW杉本健勇は「すべてのチームを食ってやる気持ち」 (3ページ目)

  • 戸塚 啓●取材・文 text by Totsuka Kei

【俺らだってモチベーションは高い】

 J3で25勝10分3敗の成績を残した昨シーズンも、平均ボール支配率は10位、1試合平均パス数は8位だった。その数字で、リーグ4位のチャンスクリエイト総数を弾き出している。長澤監督のサッカーとレッドブルのグローバルネットワークの哲学には、そもそも親和性が認められていたのだ。

 昨シーズンから積み上げてきた「第3の立ち位置」を日々の練習から磨き上げ、J1でふたケタ得点を記録したこともあるFW豊川雄太と、J2の横浜FCでJ1昇格の原動力となったブラジル人CBガブリエウとFWカプリーニらを獲得した。昨シーズンは期限付き移籍だったFW杉本健勇とMF泉柊椰も、完全移籍へ移行している。

 開幕4連勝が驚きではないことは、わかるはずだ。

 対戦相手の警戒レベルは、ここからさらに上がっていくだろう。いつかは連勝が止まり、勝ち点を取れない試合が訪れるかもしれない。

 笠原も「難しい時期は来ると思います」と、言葉に力をこめる。「そのなかでも強度を高くやれるかどうかが大事で、現状維持では何も変わらないし、結果を残していけないですから」と続ける。目線は高く、視線は先見る。

「ここからもっともっと、自分たちのレベルをどれだけ高めていけるか。そのために、一人ひとりがさらに強度を高くプレーする。ワンプレーにこだわる、ということをしていけば、試合内容をさらに充実させることも可能だと思います」

 チームの得点源であり、精神的な支えにもなる元日本代表FW杉本は、「RB大宮になったから相手がモチベーション高く挑んでくるって言われますけど、俺らだってモチベーションは高いですよ」と、迷いのない表情を浮かべる。

「もちろんJ2へ戻って1年目なので、すべてのチームが俺らより上だと思っている。チャレンジャーの気持ちで挑んで、食ってやろうっていう気持ちです」と、チームのメンタリティを代弁する。

 試合のように練習する日々は、試合の結果に影響されない。このチームは高いスタンダードで貫かれており、これから何があろうとも、一戦必勝のメンタリティが揺らぐことはないのである。

著者プロフィール

  • 戸塚 啓

    戸塚 啓 (とつか・けい)

    スポーツライター。 1968年生まれ、神奈川県出身。法政大学法学部卒。サッカー専誌記者を経てフリーに。サッカーワールドカップは1998年より7大会連続取材。サッカーJ2大宮アルディージャオフィシャルライター、ラグビーリーグワン東芝ブレイブルーパス東京契約ライター。近著に『JFAの挑戦-コロナと戦う日本サッカー』(小学館)

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