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ガンバ大阪・東口順昭、1試合も出場できなかった昨シーズン「『引退』という言葉が勝手に浮かんできた」 (3ページ目)

  • 高村美砂●取材・文 text&photo by Takamura Misa

「ありがたいことに2014年にガンバに加入してからずっと、いい時も、悪い時も、ピッチに立って戦ってきたので。チームが上位争いを続けているという事実や、劇的に勝利を引き寄せるなど逞しく戦っている姿をうれしく感じながらも、心のどこかで試合に絡めない自分、チームから必要とされない自分、ということも考えました。もちろん、最年長選手としての振る舞いというか、この状況で自分が何をできるか、どんなふうにチームを助けられるかも考えながらでしたけど、シーズン終盤はずっと自分と戦っているような感覚もありました」

 これは、左膝の痛みが思うように払拭できなかったのもある。戦列に戻ってからも疲労が溜まってくると、痛みが出て自然とプレーに制限をかけてしまったり、違う箇所に筋肉の張りを感じるといった状況が続き、「無心にプレーすることがなかなかできなかった」と振り返る。

 それでも、選手である自分を諦めたくはなかった。

「正直、引退も考えたし、シーズン終盤はいろんなことが頭を巡っていました。ただ、そうした状況でもガンバからオファーをもらえたことで腹が決まったというか。正直、この年齢で1年間、ケガを繰り返してしまい、ほぼ稼働できなかったことを思えばスパンと切られてもおかしくなかったとは思います。

 でも、そんな状態でも必要としてもらえたことにチャレンジしない理由はないな、と。変な言い方ですけど、何より僕自身が、キャリアにおいて初めて直面している今の状況をどうやって乗り越えていくのかを見たいという思いもありました」

(つづく)◆東口順昭が10代のチームメイトに熱視線>>

東口順昭(ひがしぐち・まさあき)
1986年5月12日生まれ。大阪府出身。大学卒業後、2009年にアルビレックス新潟入り。2年目から出場機会を得る。2011年、日本代表に選出され、2014年にはジュニアユース時代に在籍していたガンバ大阪に移籍。以来、ケガに泣かされるシーズンもあったが、不動の守護神として活躍してきた。2018年ロシアW杯出場。国際Aマッチ出場8試合。

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