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【高校サッカー】前橋育英が電光石火の逆転劇! 7年ぶり2度目の優勝へチームは最高の状態 (2ページ目)

  • 浅田真樹●取材・文 text by Asada Masaki

「ターンして前向いたときに相手(の寄せ)が遅くて、力を抜いて振りきったらいい感じでポストに飛んで入った」

 そう振り返り、2ゴールに笑顔を見せた佐藤だったが、今大会で前橋育英の攻撃をけん引してきたのは、ともに2トップを組むオノノジュだった。

 準々決勝までの4試合を振り返ると、オノノジュがそのうちの3試合で計4ゴールを決めていたのに対し、佐藤は1回戦での1ゴールのみ。エースストライカーの陰に隠れていた第2の男は、しかし、準決勝の大舞台、それも相手に先制を許す苦しい状況でチームを救った。殊勲のヒーローが力強く語る。

「ここまでは慶吏に頼ってばかりだったので、次の試合も自分がもっと頼りになる存在になって勝ちたい」

 そして締めくくりは、後半開始から途中出場していた背番号7、白井誠也である。

 身長161cmの小兵には似つかわしくないほどの力強いドリブルを再三見せた白井に、この試合最大の見せ場がやってきたのは、58分のことだ。

 自陣ペナルティエリア手前で自ら相手ボールを奪った白井は、そこからロングドリブルを開始。小さな体が後方から相手選手に手をかけられながらもグイグイと前進していく様に、3万人以上の観衆で埋まったスタンドは沸いた。

 白井は敵陣までボールを運び、右サイドを駆け上がってきたオノノジュにパスを送ると、自らも足を止めずにゴール前へダッシュ。最後はオノノジュからマイナスの折り返しを受け、シュートをうまくゴール左スミに流し込んだ。

 丸刈り頭の小さなヒーローが振り返る。

「ちょっとファール気味だったので倒れるか迷ったが、そこで耐えていければゴールにつながるかなと思ったので、そこで踏ん張ってドリブルできたのでよかった。自分でドリブル突破していったので、(オノノジュから)ボールが来たら決めてやろうという気持ちで待っていた」

 自身の今大会初ゴールが、国立競技場という大舞台での値千金の一発。白井は「ずっと得点は狙っていたので、それが国立の場(でできた)というのでうれしい気持ちでいっぱい」と語り、あどけなさの残る顔をほころばせた。

 準決勝で新たなヒーローが誕生した一方で、今大会注目のオノノジュはノーゴール。前橋育英を率いる山田耕介監督は、冗談めかして「(準々決勝から中6日だったのに)慶吏はパフォーマンスがよくなかった」と話していたが、それでもオノノジュは左右両サイドでチャンスメイクし、2アシストを記録しているのだから、ふたりのラッキーボーイの誕生は、エースストライカーの支えがあってこそ。

 指揮官は辛口評価だったが、チームは最高の状態で決勝へ駒を進めたと言ってもいいだろう。

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