「元日・国立競技場」の天皇杯決勝を捨ててよかったのか 厳しくなるサッカーを取り巻く環境 (3ページ目)
いまから四半世紀以上前、"ドーハの戦い""ジョホールバルの戦い"の頃、いまの日本の状況を予想した人はどれほどいるだろうか。
いろいろな意味で隔世の感を禁じ得ない。欧州組の数が100人に膨れあがっているのに、日本のサッカー界はその割に盛り上がっていない。海外組といえば三浦知良ひとりしかいなかった当時のほうが、日本のサッカー界は活気に溢れていた。それが筆者の実感である。
サッカーそのものは右肩上がりを続ける。プレーのレベルにおいては、常に現在は過去を上回る。「昔はよかった」と思うことは滅多にない。だが、サッカーを取り巻く環境は別だ。逆に、年とともに面白みが失われつつある。「昔はよかった」と言いたくなる瞬間に遭遇する回数が増えている。これは世界共通の話なのか。日本に限った話なのか。
旧国立競技場で行なわれた、かつての天皇杯決勝の風景が懐かしく感じられるのである。
著者プロフィール
杉山茂樹 (すぎやましげき)
スポーツライター。静岡県出身。得意分野はサッカーでW杯取材は2022年カタール大会で11回連続。五輪も夏冬併せ9度取材。著書に『ドーハ以後』(文藝春秋)、『4-2-3-1』『バルサ対マンU』(光文社)、『3-4-3』(集英社)、『日本サッカー偏差値52』(じっぴコンパクト新書)、『「負け」に向き合う勇気』(星海社新書)、『監督図鑑』(廣済堂出版)、『36.4%のゴールはサイドから生まれる』(実業之日本社)など多数。
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