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ファジアーノ岡山、待望のJ1昇格はこうして叶った――悲願達成の糧となった2年前の経験 (2ページ目)

  • 浅田真樹●取材・文 text by Asada Masaki

 木山監督の言葉を借りれば、「夏場に勝ちきれず引き分けが続いてしまい、数字的には(自動昇格の可能性が)残っているけど、冷静に考えたら難しいという状況に早くなった」。だからこそ、「ならばプレーオフで勝ち抜くためにチームの力を上げていく。上げながらリーグ戦でしっかりその順位(プレーオフ進出圏内)をキープしていく、というふうに頭を切り替えられた」という。

 そして指揮官は、「100%言いきれないが」と注釈したうえで、こう続ける。

「そこはシーズンの"アヤ"でもあったと思うし、そこでパッと(気持ちを)切り替えられたのは、ひょっとしたらクラブとしても、チームとしても、2年前の経験があったからなのかもしれない」

 ミッチェル・デューク(→町田ゼルビア)、佐野航大(→NEC/オランダ)ら、2年前を知る選手は、その多くがすでに岡山を離れた。J2を戦う小規模クラブの常とはいえ、選手の顔ぶれだけで言えば、もはや2年前とは違うチームと言ってもいいだろう。

 それでも、「その悔しさとか、難しさを選手たちは共有できる部分がやっぱりある」と木山監督。「もちろん選手も入れ替わって、前回のプレーオフのピッチに立った選手は5人もいるかいないかだが、そういう選手たちといろんなものを共有できて、それをみんなに派生させながらやれるというのは、大きかったかもしれない」と話す。

 前回のプレーオフでもピッチに立った数少ない選手のひとり、輪笠祐士も「一昨年の経験が生きたかなと思う」と語る。

「2年前は最後に自動昇格を達成できなくて、シーズン終盤はチームの状態が落ち気味のなかでプレーオフを迎えてしまった。だから、(今回は)そこへ向けてもう一回勢いを出していこうと、チームですごくハードなトレーニングができていた」

 とはいえ、岡山のJ1初昇格は、経験によるものだけではない。そこには相応の自信の裏づけがあったことを、木山監督は明かす。

「あの時(2年前)は3位という最上位でプレーオフに臨んだが、まだそういう舞台を勝ちきるにはちょっと心もとないなと感じたのも事実。1回戦で山形に0-3とホームで負けたからそう感じたのではなく、1年の戦いのなかでJ1に行くチームとはちょっと差があると正直感じた。

 だけど今年のチームは、もちろん自動昇格した清水エスパルスや横浜FCより劣る部分もあるかもしれないけど、逆に優れている部分もあったんじゃないか。そういう意味では、我々ができる最善のプレーをしてJ1に近づいている感覚は、リーグ戦のなかからずっとあった。このチームに対する自信というのは、僕のなかでは大きかった」

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