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稲本潤一と今野泰幸が語る、南葛SC風間八宏監督のサッカー「フロンターレ時代より難しくなっている」

  • 高村美砂●取材・構成 text by Takamura Misa

ベテランプレーヤーの矜持
~彼らが「現役」にこだわるワケ
第7回:稲本潤一&今野泰幸(南葛SC)(2)

◆(1)稲本潤一&今野泰幸はなぜ、南葛SC入りを決めたのか>>

――今シーズンから、指揮官には風間八宏監督が就任されました。稲本選手は川崎フロンターレ時代に3シーズン、監督と選手として仕事をされていますが、今野選手は初めてです。風間さんのもとでサッカーをする面白さをどういうところに感じていますか。

今野泰幸(以下、今野)もう、めっちゃ難しいです。そもそもの要求がめちゃめちゃ高いから。というのも、風間さんの戦術はいわゆる止めて、蹴る技術はもちろん、前方向にゴールまで最短、最速で攻めることを求められるので。プレーしていてもスピード感をすごく感じるし、その状況でプレーを完結させなきゃいけない難しさは、今シーズンずっと感じながらやっています。

稲本潤一(以下、稲本)フロンターレの時よりも、選手に求めるものがさらに厳しくなっている気もするしね。本来、サッカーではロングボールを蹴ることが一番手っ取り早い"最速"だと思うんですけど、風間さんはそのキックの正確性ではなく、しっかり足元でつなぐなかでの正確性を求めるから。

 また、横パスを出すより、縦のほうが速いでしょ、という意味での最速でもあるから、ペナルティエリアの幅で攻めきることを求められる。その狭い"幅"で攻めることは、フロンターレ時代にはなかった要求だと考えても、より難しくなっている気がする。

風間監督のサッカーについて語る稲本潤一 photo by Sano Miki風間監督のサッカーについて語る稲本潤一 photo by Sano Mikiこの記事に関連する写真を見る今野 ってことは、風間さんはフロンターレ以降に今の思考に変わったってことですか?

稲本 たぶん。外から見ている分には、名古屋グランパスの監督をされていた時代もそんなサッカーではなかったから、Jクラブのトップチームの指導から離れている間にそういう思考にたどり着いたのかも。

 選手にしてみれば、求められるものが高いほど、成長は見出せるとはいえ、狭いエリアのなかでボールを奪われることなく、前に、前にボールを運ぶには、受け手と出し手、さらに3人目、4人目の全員が同じ方向を向いて、同じレベルの技術を備えていないと進まないということになる。そりゃ、難しいよね。

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