川崎フロンターレ退団発表の元フランス代表FWゴミスが日本サッカーに感心「驚くほどなんでもすぐに覚える」 (2ページ目)

  • 井川洋一●取材・文 text by Igawa Yoichi

【日本人選手は驚くほどなんでもすぐに覚える】

 例えば、以前にこのインタビューシリーズで話を聞いた外国籍選手のなかには、日本人選手の負けたあとのリアクションを不思議に感じている人がいた。敗戦後に移動するバスのなかで笑っている選手がいるんだ、それはヨーロッパでは考えられない、と。

「それは文化の違いだと、私は思う」とゴミスはこちらのそんな問いかけに応じた。

「日本人はとても平和的で、他者に敬意を払うことができる人たちだ。確かにヨーロッパやほかの国々では、敗北のあとにものすごく悔しがり、それが雪辱につながると考える人が多い。でもおそらく、日本人はそんな風に育てられていないのだろう。どんな場面でも、感情をストレートに表現する人が少ないように。

 私がこの1年ほどで確信したのは、日本人選手の飲み込みの速さだ。本当に驚くほど、なんでもすぐに覚えるし、すごいスピードで成長していく。加えて規律もあるから、高めた能力をチームのために使おうとする。これらは日本人選手の長所であり、武器だ。

 また、ヨーロッパの第一線で活躍した選手たちが、現役を退いたあとも日本のフットボールのために手助けすることが重要だ。酒井(宏樹/現オークランドFC)や長友(佑都/現FC東京)、最近では三笘(薫/現ブライトン)といった世界のトップレベルを知る選手たちが、次世代のために様々な経験を伝えていってほしいと思う。そうすれば、着実に経験が蓄積され、いつか目標に届くようになるはずだ」

 それは実際、ゴミスが川崎の年下の選手にしてきたことでもある。このインタビュー中に彼はチームメイトの名前を何度も挙げたが、なかでも同じストライカーの山田新のことを「シン」と呼んで可愛がってきたようだ。

 ゴミスが「弟のような存在」という15歳年下の山田は、頻繁にアドバイスを求めたり、言語を教え合ったりするだけでなく、昨年12月にはゴミスのルーツであるセネガルに渡航し、彼の仲介で現地のリーグ戦を観戦したという。

 そんな24歳は大卒2年目の今季、ここまでリーグ4位、チームではトップとなる12得点を記録している(第31節終了時)。昨季は4ゴールに終わったストライカーの成長に、ゴミスもひと役買ったに違いない。

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