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岐路に立つJクラブの経営「レノファ山口から直に海外へ」選手から転身した渡部博文社長が描く「成長戦略」とは? (3ページ目)

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki

【J1昇格をどう考えるか】

――社長としてのゴールはどこに設定していますか?

「チームというか、会社全体を見ているので、組織を引き上げられる社長になりたいですね。そこの軸で考えています」

――このまま行けば、J1昇格も視野に入ってきます。

「対策をされ始めた時、"今のままでいい"というのでは衰退するので、そこだけ気をつけていますね。あとは結果にふさわしいクラブになっているか。順位に対して、会社の規模や運営が追いついていなくて、ダメになったクラブもあります。たとえば5位だったら、5位にふさわしいクラブに押し上げられているか。予算規模が追いつくのはあるけど、体制としてどうなのか。たとえば"3億円、収入がプラスになりました"という時、どう使うかもイメージしておかないと。その方向性は決めてありますよ」

――あくまで力をつけてから昇格、という感じですか?

「一度、J1昇格を経験するのは必要なことだと自分は思います。たとえ難しい戦いになったとしても、興味を持つ人は増えるし、それに対してお金も集まるでしょう。選手が奮闘している姿を見せられるので」

――神戸時代の戦友、アンドレス・イニエスタを連れてくる、というのは話題を呼びそうですが?

「アンドレスとは、退団してからも連絡をとっています。彼や彼の家族は日本のことが好きだし、日本で引退してほしくて、オファーしたこともあるんですけどね。『ナベはアミーゴだから、無償でプレーするよ』と言ってくれていました(笑)」

――最後に、渡部選手がいたら契約しますか?

「高さと経験なら取ってもいいですね(笑)。今はチームが高さを必要としているので、判断、高さ、セットプレーとか、そこなら......」
(おわり)

■Profile
渡部博文(わたなべひろふみ)
1987年7月7日生まれ。山形県出身。山形中央高校、専修大学を経て、2010年、柏レイソル入団。その後、栃木SC、ベガルタ仙台、ヴィッセル神戸、レノファ山口でプレーし、2022年、現役引退を発表。同年12月、レノファ山口FCの運営法人である株式会社レノファ山口の代表取締役社長就任が発表された。

著者プロフィール

  • 小宮良之

    小宮良之 (こみやよしゆき)

    スポーツライター。1972年生まれ、横浜出身。大学卒業後にバルセロナに渡り、スポーツライターに。語学力を駆使して五輪、W杯を現地取材後、06年に帰国。著書は20冊以上で『導かれし者』(角川文庫)、『アンチ・ドロップアウト』(集英社)など。『ラストシュート 絆を忘れない』(角川文庫)で小説家デビューし、2020年12月には『氷上のフェニックス』(角川文庫)を刊行。パリ五輪ではバレーボールを中心に取材。

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