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岐路に立つJクラブの経営「レノファ山口から直に海外へ」選手から転身した渡部博文社長が描く「成長戦略」とは? (2ページ目)

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki

【理想はレノファから海外へ】

――社長同士の交流はあるんですか?

「J2クラブの社長さんには、いろんなことを聞いて学んでいますね。モンテディオ(山形)の社長の相田(健太郎)さんとか。相田さんは自分が選手時代にヴィッセルでやっていた時、強化部長だった方なので。楽天イーグルスにいたこともあるので、選手獲得方針やクラブ経営については相談したことがありました。(ファジアーノ)岡山の北川(真也)社長も地方クラブとしてスポーツ振興や地域活性化の角度から精力的に活動されていて、参考にさせていただいています」

――今は100人程度の日本人選手が海外でプレーする時代です。強烈な円安で、少しの活躍で欧州移籍が決まっている現状で、外国人獲得も難しい。

「自分は、"日本人の価値はもっと高まっていくべき"という考えで動いています。カタールW杯では日本代表が最高位の9位になり話題は高まっていますし、2026年からはシーズン移行(秋春制)があります。"アカデミーからトップに上がる""上がらずとも海外に行く"でもいいのですが、その路線を作れるか。それはレノファの今後の課題ですね。

 日本サッカー全体でも、海外に行きやすくなっているのは自然の流れで、行っているからこそ、行きたい選手も多くなります。自分の立場としては、レノファからステップがありそうなクラブと提携できるか。今後はクラブに対して明るい未来の材料として、(クラブにとっても選手にとっても)双方にメリットのある提携をしていきたいと思っています」

――地域色を強め、そこから世界に羽ばたくイメージで?

「地方クラブのなかで、唯一無二のクラブになりたいですね。今までの現象で言えば、山口県は人材が流出しているところがある。アカデミーも小・中・高ありますけど、その大会に福岡、鳥栖、広島などのスカウトが来て、目を光らせている状態です。山口県内や、レノファで育って、J1、海外、というのは本当に少ない。Jリーグのホームグロウン制度もありますし、理想はレノファから直に海外へ。その動線を作りたいですね。たとえば、レノファからヨーロッパに行けるぞ、という期待感が持てるクラブになったら、人材も集まりやすくなりますよね」

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