Jリーガーから社長になって2年目 レノファ山口・渡部博文社長が語る「クラブ経営から見たサッカーの醍醐味」 (2ページ目)

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki

【経営的に見た「サッカーの醍醐味」】

――5位(インタビュー時点。第22節終了現在7位)は文句のつけられない順位です。サッカーは予算規模がそのまま成績に反映される側面もあり、売上高で16位のクラブとしては大健闘ですね。

「経営の目線で言えば、サッカーの醍醐味やロマンは、そこにあるのかもしれません。その資金のなかで、それ以上の順位、勝ち点を追って、結果を残せるか。そこが重要だと思っています」

――これだけの変化を残せた理由は?

「選手の獲得の仕方、監督の選び方などあると思うんですが......。まずは、クラブとしてのサッカーの方向性を明確にすることが優先でした。今シーズンは "このサッカーでいこう"と決めて、去年までやっていたサッカーから大きく軌道を変えることにしました。

 クラブとして、大事にしてきた言葉や姿勢もあったのですが、その時々で監督が残した言葉ややり方は、あくまでその監督のもの。"クラブとして残っているものは?"となった時、自分が方向性を決める必要がありました。徹底的にデータを調べて、予算規模の高いクラブにどうやって勝つかを考えましたね。結果、自分たちのやっていたサッカーは、"勝つ確率の低いことをしているよね"という結論に至ったんですよ。

 逆に、勝つ確率の高いサッカーとは何か。簡単に言えば、失点をしないことと、クロス、セットプレー、ショートカウンターでのゴールを増やすこと。それが効率がよくて、勝率にも直結していました。自分たちがやっていたのは、ポゼッションサッカーと呼ばれるようなチームの完成度や難易度が高いサッカーを志向していました......。もちろん、それができるならば理想的でしたが、"今ある予算や選手層で実現可能なのか"という葛藤のなかで、社長として判断する必要がありました」

――当然、監督の選定には関わったと?

「そうですね。志垣(良)さんとは契約前に面談をしました。志垣さんは戦う準備としてのチーム構築に重きを置いているし、そこを丁寧にできる監督を自分たちも求めていたので。山口は若い選手が多く、その力を引き出せる指導者が必要だと感じていました」

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