新潟DFトーマス・デンが語るJリーグで特に手を焼いた3人「信じられないくらい嬉しかった」 (2ページ目)
【特に手を焼いたのは...】
パンデミックの影響でそのシーズンのJ1は開幕節の直後から中断に入り、7月に再開されてからは、名古屋グランパスに敵地で2-6の大敗を喫したこともあった。
一方、シーズン終盤のヴィッセル神戸とのアウェー戦では、幼少期から憧れていたアンドレス・イニエスタと初めて同じピッチに立った。大量失点よりも、自身のアイドルとの邂逅を鮮明に覚えているのは、当然だろう。
「信じられないくらい嬉しかったな」と、トーマス・デンは楽しそうにイニエスタとの初対戦を振り返る。
「小学生の頃、僕は毎週、彼が出場していたバルセロナの試合を観てから、学校に通っていたんだ。南アフリカW杯の決勝で彼が決勝点を奪ったシーンも目に焼きついている。そんな自分にとって、ロナウジーニョと並ぶ最大のスター選手が目の前にいたんだ。現実感がまったくなかったことを覚えている」
途中出場のイニエスタを抑え、浦和が1-0の勝利を挙げたあと、彼はその元スペイン代表MFにシャツが欲しいと頼み、快諾してもらった。するとイニエスタからも求められ、交換したのだが、「僕のシャツなんて、どうするつもりだったんだろう」とトーマス・デンは謙遜する。また、ピッチ上のイニエスタはどんな時も落ち着き払っていたので、ボールを奪うことができなかったと明かす。
「世界を制したテクニックと平常心を目の当たりにしたよ。本当にすごかった。当時の神戸には、古橋(亨梧/現セルティック)がいて、彼のスピードとスペースを突く動きにも苦しんだよ。Jリーグにはすばらしい選手がたくさんいるけど、特に手を焼いたのは、そのふたりと川崎の家長(昭博)だね。彼もイニエスタと同様、常に冷静沈着で、判断を誤ることがほとんどない。身体も強くて重心が低いので、なかなかボールに触れさせてもらえないんだ」
そう話すトーマス・デンは浦和に2年間在籍したあと、2022年にアルビレックス新潟へ移籍。初年度には股関節の負傷を抱えたまま入ったが、夏に新天地でデビューすると、いきなり3試合連続で無失点勝利に貢献した。そしてチームの6年ぶりのJ1復帰とJ2優勝に寄与して、昨シーズンから再び日本のトップリーグでプレーしている。
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