名古屋グランパスが初勝利もJ2降格さえちらつく異常事態 稲垣祥「悪循環になってきたという印象は否めない」

  • 浅田真樹●取材・文 text by Asada Masaki

 開幕戦から続いた連敗は、ようやく3でストップ。名古屋グランパスが、ついに今季初勝利を手にした。

 J1第4節、柏レイソルと敵地で対戦した名古屋は、2-0で勝利。前半18分にFKからFW永井謙佑が、後半62分にはCKからDFハ・チャンレが、数少ない決定機を確実に仕留める一方で、守っては今季初の無失点である。

 待望久しかった初白星に、名古屋を率いる長谷川健太監督は、ホッとした様子で口を開く。

「選手が気持ちを出して戦ってくれた結果が、初得点と初勝利につながったと思う」

 その言葉どおり、3連敗中はすべての試合でノーゴールに終わっていた名古屋にとっては、永井の貴重な先制ゴールが今季のチーム初得点でもあったのだから、指揮官の安堵感たるや相当なものだったに違いない。

 殊勲の永井も、「3試合ゼロ(無得点)はなかなかない。FWとして責任を感じていた」と振り返り、「1点取るとリズムが生まれるし、自信も戻る」と、ようやく手にした1勝目に笑顔を見せた。

今季初勝利を挙げた名古屋グランパスだが...。photo by Masashi Hara/Getty Images今季初勝利を挙げた名古屋グランパスだが...。photo by Masashi Hara/Getty Imagesこの記事に関連する写真を見る とはいえ、長谷川監督が「内容はまだまだな部分がある」ともつけ加えているように、2-0のスコアから想像するほど、試合内容が危なげないものだったわけではない。

 今季の名古屋は、3バック+左右ウイングバックの布陣こそ従来と変わらないものの、中盤から前線にかけては選手の配置を変更。すなわち、昨季の3トップ(1トップ2シャドー)+2ボランチから、2トップ+3MF(アンカー+2インサイド)へと、開幕前のキャンプを通じて転換を図ってきた。

 ところが、「1アンカー(の新布陣)を捨てたわけではないが、なかなかここまでうまく機能しなかった」と長谷川監督。その結果、柏戦では「(昨季まで)慣れ親しんだ2ボランチで臨んだ」というのが、現状である。

 その柏戦にしても、前半のうちに首尾よく先制することには成功したものの、その後は柏の攻勢にさらされ、防戦の時間が長く続いた。前半の終盤には、柏のシュートが立て続けに2本、ゴールポストを叩いてもいる。

 試合内容に関して言えば、自分たちが狙いとしていたことをより多く表現できていたのは、柏のほうだっただろう。

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