川崎フロンターレの補強を査定 常勝時代からかけ離れた苦しむ姿...突破口は? (2ページ目)

  • 原山裕平●取材・文 text by Harayama Yuhei

【昨季から戦力の上積みは?】

 立ち上がりから目についたのは、局面での強度不足だ。ボール支配で上回りながらもファイナルサードの精度を欠き、ボールをあっさりと失ってしまう。強かった頃の川崎であればそこで即時奪回を実現し、再び攻撃へと転じたものだが、この日の川崎は失った瞬間の出足が遅く、カウンターを浴びる機会を頻発させた。

 開始7分には早々にネットを揺らされてしまう。これはVAR介入により救われたものの、これが決まっていれば、公式戦4試合連続で立ち上がりに失点を喫してしまうところだった。試合の入りの拙さも、常勝を誇った当時の川崎からはかけ離れた姿である。

 65分の失点の場面でも隙は見られた。最後はゴール前での肉弾戦からなかば強引にゴールを割られてしまったが、切り替えが遅く、右サイドをフリーで侵入された対応に、守備の緩さが感じられた。

 5つのゴールを許した前節の磐田戦でも、その傾向は見られていた。この日は1失点に抑えたとはいえ、同じ轍(てつ)を踏んでしまった感は否めない。

 もっとも、課題はあくまで攻撃面にあると、指揮官は感じているようだ。

「意図的に前進していくことは、チームとしてやらなきゃいけないところだと思います。そこに取り組みながらも、最後の質のところと、あとはチャンスの回数をもっともっと増やさないといけない」

 ボールを保持しながらも、パススピードやアイデアに欠け、ギャップを生み出すことができなかった。可能性が感じられたのはマルシーニョの単独突破のみで、連動性を欠いた攻撃ではコンパクトな京都の守備組織を崩しきることができなかった。

 総体的に見れば、8位にとどまった昨季からの上積みがなされていない、ということになる。結果で応えるエウソンと左サイドで推進力をもたらす三浦は、確かに希望の光である。しかし、エウソンを除く新外国籍選手と、山根の後釜として期待されたファンウェルメスケルケン際は、出場機会すら得られていない。現時点で今オフの補強策は、マイナス査定と言わざるを得ないだろう。

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