FC東京・仲川輝人が振り返る移籍1年目――チームに潜んでいた「なぜ」と「謎」、そしてF・マリノスとの違い (2ページ目)

  • 佐藤 俊●取材・構成 text by Sato Shun

――キャンプ中、チームはいい状態でしたが、シーズンに入ってから、なかなか波に乗りきれなかったですね。

「よくプレシーズンマッチはあまり当てにならないと言われていますが、それを実感しました。キャンプからプレシーズンマッチを戦っていくなかで、僕らはひとつも負けず、調子がよかったんです。でも、そこに落とし穴があったというか、試合に勝っていたので修正すべきところを疎かにしてしまった。

 そういう意味では、(プレシーズンでは)勝ち続けるよりも負けて、みんなで話し合って修正をしていくという作業が必要だった。それができないままシーズンに入って、いろんな課題が出てきてしまった感じです」

――キャンプでは、出た課題を修正して、試合で確認していくという作業の繰り返しになりますが、勝っていると「イケる」と思ってしまいがちになってしまう。

「それが、危険なんです。実際、キャンプから東京に戻ってきて、練習が始まった時、なんかピリッとした感じがなくて、練習に身が入っていないわけではないですけど、ダラダラしているような雰囲気だったんです。

 たとえば、パス1本1本のクオリティが低く、切り替えのスピードも遅い。球際でも激しさがなく緩くて、全体的に動きがちょっとフワフワしている感じでした。でも、開幕戦の浦和レッズ戦に勝てたことで、『イケる』みたいになったので、大丈夫かなという不安はありました」

 アルベル・プッチ・オルトネダ監督は、第17節のガンバ大阪戦に敗れて3連敗を喫したあと、解任された。17試合を終えて5勝4分8敗、勝ち点19、順位は12位。トップのF・マリノスとの勝ち点差は17に広がった。後任には、かつてF・マリノスのコーチだったピーター・クラモフスキー監督が就任した。

――アルベル監督からクラモフスキー監督に代わって、チーム状態は上向きになりました。

「ピーターが来てから、リーグ戦は6試合を4勝1分1敗で乗りきり、勝ち点を積み上げられたと思うのですが、(第24節の)F・マリノス戦で負けてから、再び勢いがなくなってしまって......」

――なぜ、勢いを失ってしまったのでしょうか。

「正直、その"なぜ"がつかみきれていないです。チームとして一体感がある時は結果が出ているんですけど、負けている時はバラバラになってしまう。なぜ、そうなってしまうのか......すごく不思議なのですが。う~ん......チームとしての自信が足りなかったのかなぁと思いますね。

 たとえば、先に失点してしまうとみんな、下を向いてへこんでしまう。『取り返していこう』『ひっくり返してやろう』と口では言うものの、それが心の底からの声じゃないというか、本気じゃない感じで。リバウンドメンタリティに欠けていると思いました」

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