槙野智章が衝撃を受けたFWトップ10「バチバチ」「消える」「緩急」「ズルい」選手たち (3ページ目)

  • 吉崎エイジーニョ●取材・文 text by Yoshizaki Eijinho

【スゴすぎたブラジル人FW】

4位 ジョー(元名古屋グランパスほか)

 名古屋グランパスにいたジョーは「ボールが見えない」タイプのFWでしたね。DFとボールの間に入って、その上でDFが触れない位置にボールを置くというのを、瞬時にできる選手でした。

 だから、ボールが見えないんです。かといって、DFが強く行くと、それをうまく利用して反転してシュートまで持っていく。僕も何回もやられました。しかも、ああ見えて結構足も速くて...。

 また、空中戦も強かったです。強いというか、DFがヘディングで競り合おうとしているボールを、胸トラップで収めますからね。日本人FWにいないタイプでした。ズルいなと思いながらやっていましたよ。

 Jリーグでプレーした期間は、確か1年半くらいのはずです。でも30ゴールくらい決めていますよね。それは相当難しいことだと思います。日本に来てすぐに活躍したわけですから。Jリーグは決してレベルの低い場所ではないので。

 当時の名古屋のカウンターサッカーもぴったりハマったと思いますよ。ボックス内で仕事ができることを考えた時に、 すごくチーム選びが良かったと思うんです。自分の能力を生かしてくれる仲間たちが周りにいたのもあるんじゃないですか。

3位 ウェズレイ(元サンフレッチェ広島ほか)

"ピチブー(猛犬)"ことウェズレイには、僕が若い頃にサンフレッチェ広島で本当に鍛えてもらいました。練習では打たれても打たれても起き上がり、倒されては立ち上がり。なんとかついていったというところです。

 練習でマークしていると...もうお尻の位置が肩甲骨ぐらいにあるんですよね。まあ、肩甲骨は言い過ぎですけど、もう普通の人の腰の位置くらいにお尻がある感じなんですよ。ボールキープされると、こちらのお腹のあたりにウェズレイのとてつもない筋肉が当たるわけですよね。

 それで、足の振りも速いですし、足も速かった。羽根が生えているんじゃないかというくらいでした。

 Jリーグで新人だった頃は「こういう選手を止めないと、オレはJリーグでやっていけないんだろうな」と思っていました。毎日の紅白戦が僕にとってはJ1のトップ・オブ・トップとの戦いだったので。佐藤寿人、ウェズレイの2枚を抑えられたら、Jリーグで活躍できて日本代表になれると思っていました。とにかく練習中から、そのふたりにわざとガツガツ強く行くことを意識していましたね。

 それでいて、ピチブーはめっちゃいいヤツだったんです。後輩思い。練習が終わったら「ご飯行こう」ってみんなを誘ってくれてよく食事に行きました。焼肉を奢ってもらいました。こっちも1円でも浮かせていいお肉を食べるために、お腹空かせて行ってたくさん食べたもんですよ。「オレたちもああいうお尻になるんだ」って。

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